【A.ランゲ&ゾーネ創業175周年記念連載Vol.4】希少なアニバーサリーモデルの魅力に迫る(後編)

 往年のA.ランゲ&ゾーネで黄金期と言われる19世紀後半から20世紀初頭。この時代の意匠をいまに受け継ぐコレクションが、“1815ファミリー”だ。
 グラスヒュッテに時計産業が興って175年となる今年、この1815から三つのアニバーサリーモデルが発表された。
 前回に続き、このアニバーサリーモデルの魅力に迫っていきたい。

 

(左)1815 ラトラパント・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”
(中)トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”
(右)1815 フラッハ・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”

 前回記事ではアニバーリーエディションのひとつ、トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”を取り上げた。
 今回は、残り2つのアニバーリーエディションについて仔細に見ていきたい。

 

1815 ラトラパント・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”


■Ref.425.050。K18ハニーゴールド(41.2mm径/12.6mm厚)。日常生活防水。手巻き(Cal.L101.2)。世界限定100本。ブティック限定。税抜価格1475万円(2020年11月発売予定)

 モデル名の“ラトラパント”とは、またの名を“スプリットセコンド”とも言う、同時進行する時間計測を2本のクロノグラフ針によって可能としたクロノグラフの複雑機構だ。
A.ランゲ&ゾーネとしては、これまで6作のラトラパント・クロノグラフを展開しているが、いずれも永久カレンダーなどとセットとなっており、意外にもこの機構のみに特化したモデルは本作が初となる。
 ランゲとしてはかなり機能を絞り込んだモデルだが、そのぶん緻密なスケールが際立った精悍な表情を生み出している。

 他方、緻密さで言えばそのムーヴメントも見逃せない。
 湾曲したレバー類などで構成される手巻きのCal.L101.2は、かなり見応えがある。限られたスペースで複雑機構を機能させる計算し尽くされた設計だ。

 またアニバーサリーエディションならではのポイントとして、洋銀製の受け部品に粒状の表面仕上げを施すなど、1Aクオリティーと呼ばれる最高品質を誇った往年のランゲ製懐中時計を思い起こさせる仕上がりとなっている。

往年の1Aクオリティのランゲ製懐中時計。受けに施された粒状仕上げは往年のランゲ製懐中時計によく見られる技法だ

3・6・9・12時位置にあしらわれたレッドポイントなど、文字盤デザインにも往年の1Aクオリティのランゲ製懐中時計を思い起こさせる意匠が取り入れられている

 

 加えて、ケースがスリム化されたという点も機能を絞ったことの恩恵と言えるであろう。
 本作のケース径は41.2mm、厚みは12.6mmと手首に収まる適度なサイズ感に留められているため、複雑モデルながらも快適な装着感を実現した。

価格を考えると気軽な普段使い時計とはいかないが、適度なサイズ感にまとめられているため装着感は良好だ

 

1815 フラッハ・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”

■Ref.239.050。K18ハニーゴールド(38mm径/6.3mm厚)。日常生活防水。手巻き(Cal.L093.1)。世界限定175本。税抜価格374万円

 

 最後に紹介するのが、この1815 フラッハ・ハニーゴールド “F. A.ランゲへのオマージュ”だ。

 ちなみに“フラッハ”と言えば、同社のサクソニアファミリーで2011年より展開される薄型の2針モデルに与えられている名だが、本作はその1815バーションとして特別に製作されたものである。

1Aクオリティのランゲ製懐中時計。金無垢 HTU Nr. 81877 lfd. Nr. 0426

 

 今日、1815ファミリーではアラビア数字を用いたインデックスと、それを囲う線路をイメージしたレイルウェイ風の分目盛りが、共通の意匠として継承されている。
 ご覧のとおり本作もこの文字盤スタイルに倣っているが、本作の文字盤はホワイトエナメルによって仕上げられている。このホワイトエナメル仕上げは、往年の懐中時計に用いられたもので、今日のランゲコレクションではトゥールビヨンなど一部の複雑限定モデルにしか採用されていない。

艶やかなホワイトエナメル仕上げによるツーピース構成の文字盤にダークカラーによる表記が映える

 

 またムーヴメントも然り。本作に搭載するCal.L093.1では、ムーヴメントの大半を覆う4分3プレートに、通常用いられるグラスヒュッテストライプではなく、往年のランゲ製懐中時計でよく見られる粒状仕上げが施されている。
 加えて丸穴車と角穴車も通常サンバースト仕上げだが、本作では円模様の装飾研磨で仕上げられている。

手巻きのCal.L093.1は2.9mm厚という薄さながら72時間のパワーリザーブを備える

 

ケース自体の厚みも6.3mm厚しかない

 

38mmと小振りで、薄いため装着感はかなり良好だ

 

 グラスヒュッテに時計産業が興ってから175年を祝して生まれた今回のアニバーサリーエディション。それだけに同コレクションには往年のランゲ製懐中時計を思わせる意匠が随所に盛り込まれている。

 ただ、それは単に古典を追求しただけのものでは、決してない。
 現代基準のスペックやトレンドを巧みに取り入れるなど、しっかりと時代に合わせた提案がなされているのだ。

 新生A.ランゲ&ゾーネを牽引した故ウォルター・ランゲが生前よく口にしていた「決して立ち止まらない」という言葉どおりに。

第1回「ドイツ・グラスヒュッテに一大時計産地を築いたF.A.ランゲ
第2回「ランゲ黄金期の意匠をいまに体現する1815ファミリー」
第3回「希少なアニバーサリーモデルの魅力に迫る(前編)」

 

文◎堀内大輔(編集部)/写真◎笠井 修

 

【問い合わせ先】
A.ランゲ&ゾーネ TEL:03-4461-8080
https://www.alange-soehne.com/ja/

 

 


【175年の歴史を振り返る】“A.ランゲ&ゾーネ”の175年アーカイブ巡回展が開催中

 ブランドの時計作りの原点である、F.A.ランゲとその息子たちによって生み出された懐中時計が今回、本社のアーカイブより、19世紀後半から20世紀前半にかけて製作されたポケットウオッチ5点が来日。日本国内のA.ランゲ&ゾーネブティックにて 巡回展を開催する。

 本巡回展で展示されるのは、A.ランゲ&ゾーネの品質等級で“1A”と称され、最高ランクに位置付けられた貴重なタイムピース。

 洋銀製4分の3プレートやゴールドシャトン、ダイヤモンドの受け石、ハンドエングレービングで仕上げたテンプ受けなど、いまも受け継ぐ伝統技法とムーヴメントを彩る丹念な手仕事を、現代のコレクションとともに見てみてほしい。

【A.ランゲ&ゾーネ 175年アーカイブ巡回展スケジュール】

A.ランゲ&ゾーネ 伊勢丹新宿店
日程・・・2020年11月4日(水)~11月17日(火)
営業時間・・・10:00〜20:00(定休日なし)
場所・・・東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店本館5階
問い合わせ・・・代表TEL.03-3352-1111、Email:als.shinjukuisetan@lange-soehne.com

A.ランゲ&ゾーネ 阪急うめだ本店
日程・・・2020年11月19日(木)~11月26日(木)
営業時間・・・10:00〜20:00(定休日なし)
場所・・・大阪市北区角田町8-7 阪急うめだ本店6階
問い合わせ・・・代表TEL.06-6361-1381、Email:lange-soehne-h.umeda@cronos.co.jp

A.ランゲ&ゾーネ 銀座
日程・・・2020年12月16日(水)~ 2021年1月11日(月)
営業時間・・・11:00〜19:00 (定休日なし)
場所・・・東京都中央区銀座6-7-15 第二岩月ビル 1階
問い合わせ・・・TEL.03-3573-7788、Email: als.ginza@lange-soehne.com

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