【第14回】ポストヴィンテージ時代の腕時計|2度見必至!70年代を象徴するモバードのアストロニック

 1970〜90年代の時計にスポットライトを当てた当連載。14回目の今回は1970年代に作られたかなり個性的なスタイルをもつモバードのアストロニック(ASTRONIC)を紹介したい。

 このアストロニックは “デイトロン”こと、自動巻きクロノグラフキャリバー3019PHCを搭載。既存のクロノグラフ機構に加えて、ムーンフェイズとトリプルカレンダー機構が追加されており、70年代当時としてはかなりの高機能モデルだった。

モバードのアストロニック。上は18金イエローゴールドモデル、下はステンレススチール製だ

 さて、搭載されているデイトロンだが、あまり聞きなれないムーヴメントのように思われるかもしれないが、実はゼニスの“エル・プリメロ”のことなのである。つまり1969年に世界に先駆けて発表されたことでも知られる、3万6000振動ものハイビート化を実現した自動巻きのクロノグラフムーヴメントで、モバード名がデイトロンだったというわけだ。

 69年以降、モバードはゼニスの傘下にあって様々な研究開発を共同で行っていた。そのためパーツも共用されていることも多く、実はこのアストロニックとほとんど同じデザインのモデルが、ゼニスからはエスパーダ(Espada)というペットネームでリリースされている。

右がモバードのアストロニック、左はゼニスのエル・プリメロ搭載のクロノグラフ。ケースは共用されていることがわかる。写真を掲載できなかったが、ゼニスのトリカレムーンクロノ、エスパーダのデザインはモバードと一緒で、違うは12時位置の表記だけだった

 高機能もさることながら、その個性的なスタイルのケースフォルムもアストロニックの大きな魅力と言える。まさに1970年代らしい、どこか近未来的な雰囲気さえ漂う作りだ。しかしその反面、インパクトが強すぎることから実際に着けるとなると、合わせるファッションがかなり絞られることは致し方あるまい。

 実勢価格はステンレスモデルで50万円〜60万円台。一方のイエローゴールドモデルは120〜140万円ぐらいで流通しているようだ。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

オススメ記事

  1. コンプレッサーケースを使った1960年代の潜水時計を4万円台の日本製機…

  2. A.ランゲ&ゾーネの世界1本限定がフィリップスで競売に!

  3. 世界でたった1本を所有する贅沢! モリッツ・グロスマンのワンオフピース…

  4. 【ロレックス】通信 No.058|これは凄い!2020年新作発表でサブ…

  5. 菊地の【ロレックス】通信 No.093|デイトナのロングセラー、Ref…

  6. 2020年チューダーの最新作はいまや50万円超え! 対して既存モデルは…

  7. 顔はシンプルでも中身はスゴいんです!“ハマティック” 独創性に富む自動…

  8. 20万円台から買える実用アンティーク「オメガ・30mmキャリバー」とは…

人気の記事

ロレックス

国産時計

スマートウォッチ

ドイツ時計

カジュアル時計

アンティーク時計

レディース時計