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並行輸入市場でのロレックスの異常なプレミアム価格化はいつ頃からだったのか!|ロレックス通信 No.152

2020年のモデルチェンジによって登場した現行のサブマリーナーデイト、Ref.126610LN。現在の実勢価格は国内定価の倍である

 本来であれば国内定価よりも安く買えるはずの並行輸入品だが、ことロレックスについてはベーシックなモデルのデイトジャストであっても並行輸入店では、いまや国内定価を上回る価格でしか購入することができないという異常な状況になってしまった。

 では、このような状況になったのはいつ頃だったのか。サブマリーナーデイトを例に簡単に振り返ってみたいと思う。

 掲載したグラフは、当ウオッチライフニュースの「週刊ロレックス相場」でかつて表示されていた旧型のRef.116610LNについて2011年から20年5月までの実勢価格の推移を表したグラフである。なお、現在「週刊ロレックス相場」で表示されているサブマリーナーデイトのグラフは20年にモデルチェンジした現行のRef.126610LNのため20年11月からとなっている。

 さて、この旧型Ref.116610LNの当初の国内定価は73万5000円。それに対して当時の実勢価格は50万円台後半と並行輸入品ならではのメリットはあった。ただグラフを見ると、右肩上がりで上昇していることがわかる。ちょうど円安が進行し、対してスイスフランと米ドル高に急激に動いていた時期とも重なる。

旧型サブマリーナーデイト(Ref.116610LN)の2011年から22年5月までの新品実勢価格の推移を表したグラフ

 そして2014年頃からはサブマリーナーデイトも並行輸入品の価格が国内定価を超えるようになってしまった。折しもその年には消費税も5%から8%に増税されたこともあってさらに上がった感じだ。

 それ以降は15年頃をピークに値下がりに転じたことはあっても国内定価を下回ることは一度もない。そして、そんなロレックスの並行輸入市場に変化が現れたのが17年の夏頃である。日本に並行輸入で入ってくるロレックスの新品が極端に減ったのだった。中国市場を重要視したためではないかなど、原因についてはいろいろと言われていたが、どれも確証はない。グラフで見ると中央の下がり気味の動きから一転、急激に上昇したところがそれにあたる。

 そしてグラフからもわかるが、それ以降は多少の上下動はあっても基本的には右肩上がりで上昇を続けていく。加えて、時期は定かでないがロレックス自体も日本と海外との内外価格差を少なくするよう海外の定価を調整するなど動き始めたのもこのぐらいの時期だったのかもしれない。

 そしてピークは19年5月のこと。いわゆるインバウンド需要により、サブマリーナーデイトの実勢価格も頂点(140万円台)を迎えた。しかし、急激に上がりすぎたための揺り戻しのようにそれ以降7月から9月にかけて急激に下落、10月以降にまた上昇を続け20年2月をピーク(グラフ右側の山)に、新型コロナウイルスの影響で一気に下落に転じたというのがグラフの一連の流れである。

 グラフにはないが、20年5月を境に実勢価格はまたもや急上昇。ロレックスの工場閉鎖などの影響からさらに流通量が激減し世界的に高騰。投資物件としての新たなニーズなど、様々な要因から今日のように国内定価の倍以上という恐ろしい実勢価格へと向かっていったというわけである。

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