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【ミリタリー系クロノグラフ:人気ブランドウオッチ対決】ジン、ハンハルト、フォルティスの狙い目時計3選【実機レビュー】

 時間表示に加えてストップウオッチ機能を搭載したクロノグラフは、機械式時計でも突出した人気を誇る花形ジャンルのひとつ。文字盤にサブダイアル、ケースにクロノグラフの操作を行うプッシュボタンを備えた計測機器ならではメカニカルな意匠が最大の魅力となっている。

 フライバック、ラトラパンテなど特殊な計測機構を備えたモデルからダイバーズウオッチのスペックを備えたモデルなど多様なバリエーションが存在しているのだが、今回クローズアップするのは、軍用時計にルーツをもつ“クロノグラフ”。

 40万円台~60万円台までの価格帯から、デザイン性、実用性を兼ね備えた三つのモデルを選出してみた。


【実機レビューモデル-其の1】
HANHART(ハンハルト)
パイオニア 417ES 1954

 第2次世界大戦で主にドイツ軍の海軍所属パイロットが使用したとされるハンハルト初のクロノグラフ“417”を忠実に再現した復刻モデル。初期仕様はプッシュボタンがひとつの仕様であったが、今作ば後期型の2プッシュ式の仕様が採用されている。当時のモデルに合わせた小振りなサイズ、コインエッジベゼル、コブラ針など、こだわりを感じさせる意匠がマニア心をくすぐる。

■Ref.H701.210-7010。SS(39mm径)。10気圧防水。手巻き(Sellita SW 510ベース)。41万8000円

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》編集部・船平の総評


 ハンハルトの設立は1882年。ヨハン・アドルフ・ハンハルトがドイツとの国境沿いの街、スイスのディースゼンホーフェンに開いた時計店がはじまりだ。創業はスイスだったが、1902年には拠点をドイツ南部のフィリンゲン・シュヴェニンゲンへ移転。以降はドイツで時計を製造し、ドイツ屈指の時計メーカーとして発展していき、40年代にはドイツ軍にクロノグラフを納入している。

 本作はハンハルトが50年代後半に製造した417の意匠を再現した復刻モデルだ。オリジナルは57年に西ドイツ軍の制式時計として採用された歴史をもち、真鍮メッキケースの417Eとステンレススチールケースの417ESを製造。417ESはスティーブ・マックィーンがプライベートで愛用したことでも知られている。

 復刻に当たって当時の意匠と雰囲気を忠実に再現しており、ドーム形に成形したサファイアクリスタル風防に加え、文字盤にはアイコンとなっている夜光を塗布したコブラ針とアラビアインデックスに加え、当時採用されていた旧形のロゴを配置。両回転式のコインエッジベゼルについても、鋭角な溝を彫り込んだが無骨な仕様(40年代のモデルは溝が細かい)を再現するなど、細部までこだわりが感じられる。

アンティーク感を醸す39㎜ケースにはモチーフとなった417ESに合わせて手巻きムーヴメントを搭載。セリタベースである点やオリジナルと違ってフライバック機能がない点は評価が分かれるところだが、手巻きクロノグラフならではの操作感を味わえるのは魅力と言えるだろう。

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 クロノグラフ針と分針は1950年代のモデルと同じく先端をカーブさせた曲げ針仕様。コインエッジベゼルの溝の仕様を含め細部にこだわりが光る。


 1950年代に製造されたモデルの雰囲気を再現するため、加工が難しいサファイアガラス風防をドーム形に成形。緩やかにカーブするフォルムが魅力的だ。


 サイズは39mmで厚さ13.5mm。こんもりと厚みのあるフォルムも軍用らしい無骨さを感じさせる魅力のひとつ。BUNDベルトは一見着けにくい印象だが、柔らかいカーフスキン(裏材は人工皮革スエードを採用)が手首を優しくホールドしてくれるため、快適な装着感を備えている。

》編集部・堀内の総評

「二つのインダイアルを中央から少し離した位置に配置した意匠、無骨さを感じさせるコインエッジベゼル、手間のかかる曲げ針など、細かいパーツの作り込みによって1950年代に製造されたモデルの雰囲気が再現されています。BUNDベルトは採用する革の質感によって大きく異なるの装着感が気になっていたのですが、柔らかいカーフスキンを採用しているのでストレスを感じることなく着けることができました」(編集部:堀内)

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