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【ミリタリー系クロノグラフ:人気ブランドウオッチ対決】ジン、ハンハルト、フォルティスの狙い目時計3選【実機レビュー】

【実機レビューモデル-其の2】
FORTIS(フォルティス)
フリーガーF-43 バイコンパックス

 フォルティスの代表モデルであるフリーガーの進化形として2020年に登場した新たなフラッグシップコレクション、アビアティスのクロノグラフ。航空機の隊列飛行時に行う軌道調整のためのシンクロライン(12時位置)、視認性を高めるブリックストラック(外周)、傷が付きにくいようにすり鉢状の傾斜が設けられた回転ベゼルなど、ディテールのデザインにこだわることで、機能性を両立させている。

■Ref. F.424.0004 。SS(43mmサイズ)。20気圧防水。自動巻き(Cal.UW-51)。41万8000円

【問い合わせ先】
ホッタ
TEL:03-5148-2174


》編集部・堀内の総評


 航空業界や宇宙開発の分野のための腕時計を数多く手掛けてきた歴史をもつフォルティス。同社の原点的モデルと言えるのが1987年に登場したフリーガーコレクションだ。本作はそのフリーガーの進化形として2020年に登場した新たなフラッグシップコレクションであり、初代フリーガーに採用されたバイコンパックス(水平に並んだ二つのインダイアルを持つ仕様)クロノグラフの進化版とも言えるモデル。伝統的なバイコンパックスの意匠を継承しつつ、文字盤の意匠と外装によりプロ仕様の計器としてアップデートさせているのが特徴だ。

 文字盤には±5秒の位置にシンクロライン(パイロットが±5秒以内で正確に隊列を組む目安として考案)と名付けられた蛍光仕上げのラインを備えるほか、文字盤より1段高く成形された概数のリングにはスーパールミノバX1を施したブリックスと呼ぶ時間を表すアプライドインデックスを設置。太めのバーインデックスを配置した意匠など、ドイツ軍で使用された軍用時計のエッセンスを残しつつ、独自の意匠により実用性と視認性が高められている。

 外装パーツで目を引く両方回転ベゼルは24クリックで12時間を表示する仕様となっており、時差分回転させて簡易的にセカンドタイムを設定することが可能。すり鉢状の造形は傷が付きにくいように考慮して生まれたものだが、実用性に加え、デザイン的なアイコンとしても存在感を主張している。直径43㎜、厚さ15.73㎜の無骨なケースは大振りな印象が否めないが、デザインと機能の両面で独自性を確保した魅力的なモデルであることは間違いない。

》編集部:堀内の注目ポイントはコチラ


 両方向回転ベゼル 。一般的なベゼルと比べて分厚く仕上げており操作性が高い。グリッドを施したすり鉢状のプッシュボタンも快適なグリップ感を備えている。


 堅牢な作りに仕上げられたブレスレットのクラスプは、内側がスライドするように作られており、グローブの上から着けるなど微妙なサイズ調整可能。


 ケースは直径43mmで厚さが15.73mm。分厚いケースとのバランスを考慮してか、ブレスレットとラグを含めて、全体的に重厚な形状となっている。装着感には個人差が生じる可能性が高いためしっかりとチェックしておきたい。

》編集部・船平の総評

「ミリタリーをルーツとするフリーガーコレクションのアイデンティティを継承しつつ、このモデルのために新たに開発された文字盤、ケースのデザインにより、独自性と機能性を獲得しているのが魅力的。視認性も良好でとても満足度の高いモデルですが、ケースが大きく、分厚い点は留意しておきたいポイントです。ケースに合わせてブレスレットのコマも分厚いため、着用かをしっかり確認しておきたいモデルです」(編集部:船平)


【実機レビューモデル-其の3】
SINN(ジン)
358.SAフリーガー.B.E

 1996年に登場したロングセラーモデル、356.フリーガーをベースに開発された進化形モデル。アンティークの軍用クロノグラフを思わせる意匠、DIN8309(耐磁性)、DIN8310(防水性)のドイツ規格に準拠する機能性を継承しつつ、42mmケース(356.フリーガーは38.5mm)と5mmのソリッドガラスを研磨したドーム形のサファイアクリスタル風防により堅牢性を強化。独自の除湿機構であるArドライテクノロジーにより、精度の安定化を実現している点も特徴だ。

■SS(42mm径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.SW500)。62万7000円

【問い合わせ先】
ホッタ
TEL:03-5148-2174


》編集部・船平の総評


 ドイツ軍の計器飛行教官であり、第2次世界大戦時は自身もパイロットとして活躍したヘルムート・ジンが創設したジン。当初より極限的状況でも機能を保証する実用時計を数多く製造し、1967年にはモデル155がNATO軍の装備品として制式採用された歴史をもつ。現在は特殊技術を採用したハードスペックモデルを展開している印象が強いが、今回注目したのは96年に登場した代表作のひとつ、365.フリーガーをベースにしたクラシックなパイロットウオッチだ。

 5分刻みでボックス形の夜光マーカーを配した外周の目盛り、夜光アラビアインデックス、先端を尖らせた注射器形の夜光針など、原点となる356.フリーガーの意匠を継承しつつ、ケースサイズを38.5㎜から42㎜に拡大することで現代的なアレンジをプラス。ミリタリーウオッチとしてのニュアンスはやや薄くなるが、アンティークテイストを醸すアイボリーカラーの夜光インデックスを配置したダークブルーの文字盤もアクセントを加えている。

 ムーヴメントは最大46時間パワーリザーブを備えるセリタのSW500を搭載。ロングパワーリザーブ化が顕著な昨今の流れからするとややスペックに物足りなさを感じるが、特別な工具を使用して厚さ5㎜のソリッドガラスから削り出されたドーム形サファイアクリスタル風防、時計ケース内の湿気を取り除いて潤滑オイルの劣化を防ぐArドライテクノロジーのほか、防水性、耐磁性に関してドイツ規格に準拠するスペックを備えている点は魅力。実用クロノグラフとして確かな信頼性を備えた良作だ。

》編集部:船平の注目ポイントはコチラ


 水蒸気を取り除いて潤滑オイルの劣化を防ぐArドライテクノロジー。吸収された水分量が増すにつれて、淡いライトブルーからネイビーブルーへと色が変化する。


 セリタのSW500を搭載。ブルースチール のネジ、受け部分の装飾など丁寧な仕上げが施されている。パワーリザーブが最大45時間である点は留意しておきたい。


 ケースは直径42mmで厚さが15mm。やや厚みのあるフォルムとなっているが、ラグを手首に向けて湾曲させることでホールド感を高めており、装着感は良好だ。弓カンをラグの内側に納め、手首に沿って傾斜した中央の二つのコマで弓カンとブレスレットをつなぐ構造も装着感を高めるポイントとなっている。

》編集部・堀内の総評

「1996年の登場から26年以上のロングセラーを誇る名作からデザインを継承しつつ、ベースモデルの魅力を壊さないバランスでケースのサイズアップや文字盤のアレンジを加えているのがポイント。ミリタりーモデルならではの無駄のない機能的なデザインは、流行に左右されることなく長く愛用することができます。パワーリザーブが46時間である点と60万円台の価格は少し気になりますが魅力的なモデルだと思います」(編集部:堀内)


 

文◎船平卓馬(編集部)

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