マーケットの世界的な拡大に伴って製造機器や技術の進歩が著しい近年の時計界。製造機器が発達したことにより、従来よりも製造コストを抑えながら高品質な時計を製造することが可能となり、ひと昔前であれば一部の高級時計で使用されるような素材を使いつつ、10万円台から20万円台の手の届く価格帯で時計を展開するブランドが数を増やしている。
2022年にデビューを果たしたTHE NISHIOGI （ザ・ニシオギ）も、そんなブランドのひとつ。ハンダウォッチワールドを運営するミスズが創設した東京、西荻窪発のオリジナルブランドであり、ブランド創設に合わせてデビューしたファーストコレクション “ISSUE（イシュー）”は、 ケースの素材に904Lスーパーステンレススチール（ロレックスも使用している高級素材）を採用しているのが大きな特徴。同価格帯の競合ブランドと比較しても、かなり満足度の高い仕上がりとなっている。
ユーザーからの評価も高く、すでに初期製造分は完売となっているのだが、今回は運良く実機を確保できたため、その実力と魅力を紹介していく。
【編集部の注目モデル】
The Nishiogi（ザ・ニシオギ）
ISSUE 0.1 ブラック
ザ・ニシオギのブランド創設に合わせてリリースされたファーストコレクション。逆回転防止ベゼルを備えたダイバースタイルのスポーティなスタイルをベースにしつつ、幅広いシーンで着けられる汎用性の高い意匠に仕上げられている。ダイヤモンドカットで仕上げたアプライドインデックス、鏡面とヘアラインを組み合わせた重厚かつソリッドな904Lスーパーステンレススチールの外装など、素材選びと仕上げにこだわることで、価格以上に高級感を感じさせる。
■Ref.ISSUE0.1。904Lスーパーステンレススチール（42mm径）。10気圧防水。自動巻き（Cal.MIYOTA9015）。16万5000円
【問い合わせ先】
ミスズ
TEL.03-3247-5585
【ザ・ニシオギ：文字盤をチェック】
セラミックコーティングを施すことで、エナメルを思わせる光沢を備えた文字盤。ダイヤカットで多面的な造形に仕上げられたインデックスと針が立体感を加えており、シンプルでありながら間延びしないデザインとなっている。腕の動きに合わせてインデックス、針が光を反射するため、高級感を感じさせるのもポイントだ。
また、デザインに対するこだわりを感じさせるのが針、インデックス、分目盛りを備えたインナーリングの配置だろう。時針はインデックス、分針はインナーリングに先端がきっちりと届くようにデザインされており、均整の取れたデザインと良好な視認性を両立している。
【ザ・ニシオギ：ケースをチェック】
逆回転防止ベゼル、ケース、ねじ込み式リューズには、一般的なステンレススチールよりクロム含有量が多く、腐食にも強い904Lスーパーステンレススチールを採用。高価で加工が難しい素材とされており、一般的な316Lと比べるとやや白色で、研磨された面が明るい輝きを備えているように感じられた。
逆回転防止ベゼル、ケースともに均質な筋目を施すヘアライン仕上げをベースに採用。ヘアラインをベースにすることで実用時計らしい仕上がりとなっているが、面取りを施したケースの角、逆回転防止ベゼルのサイドなど、要所にポリッシュ仕上げを施すことで立体的な造形を強調している。
裏ブタは機密性を考慮したスクリューバック仕様。ムーヴメントを直接見ることはできないが、ケースの内部にはMIYOTA社のCal.9015を搭載。MIYOTA社のなかでもプレミアム機に位置付けられているムーヴメントであり、毎時2万8800振動で、精度は日差-10〜+30秒。汎用ムーヴメントとしては薄型と言える3.9mm厚の設計が特徴だ。