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「どっちを選ぶ」 1990年代に併売されていたGMTマスターの “ I ”と“ II ”、その違いとは?|ロレックス通信 No.189

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 このようにGMT機能だけでみると確かに“ II ”に軍配が上がるが、“ I ”には“ II ”よりも利便性が高い点が実はある。それはデイト表示だ。“ II ”の場合は、日付けを合わせる際にはクイックチェンジが使えないため、時針だけをぐるぐる回して日付けを進める必要がある。それに対して“ I ”は、時針を動かせない代わりにクイックチェンジ機能が使える。そのため日付けだけをリューズを回して直接調整できるというわけだ。

 「何だそんなことか」と思われるかもしれないが、日付けは合わせなくても気にならないという人は、迷わず“ II ”だろうが、きちっと合わせないと性格的に嫌だという人にとっては、クイックチェンジ機構の有無はけっこう悩みどころとしては小さくはないのかもしれない。

上がトリチウム、下がルミノーバの表記。1998年頃から変更になった

 さて“ I ”はステンレスモデルのみでベゼルバリエーションも青赤ツートンと黒の単色のみ。“ II ”は先の2種類にプラス黒赤ツートンの3種類、それに加えてコンビやゴールドモデルもラインナップしている。そして気になる実勢価格だが、“ I ”は140万〜200万円代前半。一方の“ II ”は140万円前後から200万円台とかなり幅が広いが、製造期間も長かっただけにタマ数も豊富に流通している。

 ちなみに“ I ”は生産終了近くの98年頃に夜光がトリチウムからルミノーバに変更されたため、6時位置の「SWISS-T<25」から「SWISS」あるいは「SWISS MADE」に変更になった。そのため後者は生産期間がわずかしかなかったため高めで流通する。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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