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37mm径で60万円台。90年代ジャガー・ルクルトの“マスターデイト トリプルカレンダー”【気になるちょい古時計|no.16】

1990年代から2000年代前半に販売され、現在は生産終了となった時計にフォーカスしてきた当連載。今回は1990年代のジャガー・ルクルトを取り上げる。

ジャガー・ルクルトといえば古くから反転ケースのレベルソやアラーム機能搭載のメモボックスなど、機能性に富んだ数々の逸品モデルを残しているが、トリプルカレンダーモデルも、同ブランドを代表するモデルのひとつと言えるのではないか。

外周部がカーブを描くボンベ文字盤にくさび形インデックス、シャープなドーフィン針。そして古典的なポインターデイトを採用したトリプルカレンダーなど、1940年代に製造された同社のアンティークモデルのようなクラシックな雰囲気を漂わせる。

トリプルカレンダーとは、日付け、曜日、月の三つを表示させる機能のこと。フルカレンダーとも呼ばれる。そして、ポインターデイトは、日付を小窓ではなく専用の指針で1から31までの数字を指し示して表示する仕様のことを指す。

一般的にはこのモデルのように文字盤の外周に日付の数字がプリントされている昔からのスタイルが多いが、なかには文字盤上のどこかにインダイアルを設けて、そこに数字と指針を設置するタイプも存在する。

このマスターデイト トリプルカレンダーの魅力は何といってもケースサイズだ。ジャガー・ルクルトでも、このところ大振りなモデルが増えてしまったが、このモデルのケースは37mm径。残念ながら多機能モデルでこういった小振りなものは現在の時計では極めて少ない。この腕にスッとなじむ絶妙なサイズ感は、まさに90年代ならではと言える。

加えて搭載する自動巻ムーヴメントも、ケーシング後の完成品に課せられるマスター1000時間テストをクリアしたCal.891/477という点も見逃せない。

さて気になる中古の実勢価格だが、今回取り上げたステンレススチールのブレスタイプで60万円台。革ベルトタイプだと50万円台といったところ。ちなみにジャガー・ルクルトの現在のマスターシリーズのカレンダーモデルはステンレスタイプで200万円超えとなってしまった。

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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