ネームバリュー、機能性、希少性など、腕時計の魅力はいくつもあるが、なかでもメーカー、ユーザー双方にとって特別な価値を持つのが独自の歴史やバックグラウンドだろう。技術やデザイン性などは新興ブランドでも努力次第で後から獲得することができるが、歴史やバックグラウンドは一朝一夕では手に入らないからだ。そんな、歴史やバックグラウンドという点で、腕時計の魅力を体現しているのが、過去に作られていた時計をベースに製作される“レトロデザイン”のモデルだ。
レトロデザインと言われても多くの人はピンとこないかもしれないが、簡単に説明すると、1960年代後半から80年代くらいにかけて作られた、近未来的で奇抜なデザインのこと。ひと昔前までは、その奇抜さから、玄人好みでヒネリの効いたジャンルとして認識されていたのだが、モチーフとなった70年代の時計が誕生して約50年の月日が経ったことで、そのチャレンジ精神に溢れたデザインを再評価する動きがみられるのだ。ここ数年でデザイントレンドのひとつとなっている。
レトロデザインでも、様々なモデルがラインナップされているのがクロノグラフだ。そのままズバリ、クルマのタコメーターを文字盤に取り入れたモデルから、オレンジ、ブルーなど、レーシングカーからインスパイアされたカラフルでスポーティな色使いを採用したものなど、多彩なバリエーションを楽しめる。
今回は往年の名作を復刻したクロノグラフを厳選して紹介する。
【画像】編集部おすすめ復刻クロノグラフ、文字盤やムーヴメントを拡大して見る
【編集部注目:おすすめの復刻レトロクロノグラフ3選】
EDOX(エドックス)
クロノラリー スポーツマン クロノグラフ
エドックス創業140周年を記念し、スポンサーシップを締結する“BMW M モータースポーツ”と共同で開発したた限定仕様の復刻クロノグラフ。1972年に発売した名作“スポーツマン クロノグラフ”をモチーフにしており、トノーケース、ドーム風防、非円形インダイアルなど、アイコンデザインを踏襲。オリジナルの雰囲気を再現しつつ、約62時間のパワーリザーブを備える新型の自動巻きムーヴメント(Cal.EDOX082)を搭載し、30気圧防水と現代の技術でスペックアップを実現している。
【問い合わせ先】
ジーエムインターナショナル
Tel.03-5828-9080
TISSOT(ティソ)
PR516 クロノグラフ メカニカル
レースシーンが白熱していた1960年代の波を受け、モータースポーツの現場で使えるスポーツウオッチとして開発されたであろう当時の“PR516 クロノグラフ”をアップデート。針やインデックス、ベゼルの配色からタキメーター表記、プッシャー形状など細部まで忠実に再現されており、ファン心をくすぐる仕様になっている。バトン型のインデックスと時分針にはスーパールミノバが施されており、夜間の視認性も良好だ。値上がりが止まらないスイス時計において、手巻きクロノグラフムーヴメント搭載で20万円台という手の届く価格を実現している点も見逃せない。
【問い合わせ先】
ティソ
TEL.03-6254-5321
AQUASTAR/アクアスター
ディープスター 39mm クロノグラフ
“アクアスター”は1962年にフレデリック・ロバートによってスイスのジュネーブで設立された時計ブランド。ジャンリシャールのサブブランドとしてダイバーズウオッチを展開し、革新的なダイバーズウオッチを次々と発表した歴史をもつ。70年以降は何度かのブランド売却を経て休眠状態となっていたが、2019年に再スタートを切った。本作は60年代に発売されたディープスタークロノグラフの復刻モデルで、サイクロプススタイルのモノコンパックスカウンター、複数の潜水時間と減圧時間を計算できる特許取得の無減圧テーブルベゼルなど、一目でわかるアイコニックなデザインを忠実に再現。世界中のコレクターコミュニティからのフィードバックを基に、39mmという絶妙なサイズ感に仕上げた点も大きな魅力となっている。
【問い合わせ先】
エイチエムエスウォッチストア 表参道
TEL.03-6438-9321
【画像】予算10万円以下のレトロクロノグラフ、おすすめの2モデルをさら見る
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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