LowBEAT magazine 最新入荷情報

【まるでUFOのような防水ケース!】機械式アラーム搭載のジャガー・ルクルトのメモボックス

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


ジャガー・ルクルト
メモボックス スノードロップ

今回取り上げるのは、1970年代に製造されたジャガー・ルクルトのメモボックス Ref.E877。通称“スノードロップ”として知られるモデルだ。

メモボックスと言えば、50年代に誕生した機械式アラームウオッチとして、改良を重ねながら現在まで製造が続けられている、ジャガー・ルクルトを代表するシリーズである。本個体は70年代初頭に登場したモデルで、全回転ローターを採用した自動巻きアラームムーヴメント、Cal.916を搭載している。

“スノードロップ”の愛称で呼ばれる本モデルは、UFOを思わせるラグレスのラウンドケースが特徴的だ。滑らかな曲線で構成されたワンピースケースは、70年代らしい大胆で未来的なデザインを色濃く感じさせる。なお、“スノードロップ”という呼称は正式名称ではなく、コレクター間で定着したニックネームとして知られている。

シリーズのアイコンとも言える、文字盤中央の三角マーカー付き回転ディスクや、それを囲む10分刻みのアラーム設定用インデックスも魅力的だ。視認性と機能性を兼ね備えたデザインは、実用時計としてのメモボックスらしさをよく表している。

【写真の時計】ジャガー・ルクルト メモボックス スノードロップ。Ref.E877。SS(43mm径)。自動巻き(Cal.916)。1970年代製。78万8000円。取り扱い店/WatchTender銀座

【画像:UFOのようなワンピースケースや文字盤の状態を確認する(全6枚)

メモボックスというと、ドレスウオッチ然としたクラシカルなモデルを思い浮かべる人も多い。しかし実際には、アラーム機能を活用したスポーツモデルも数多く存在していた。代表例としては、ダイバーズ仕様のディープシーやポラリスなどが挙げられる。

今回取り上げる本個体は、回転ベゼルやインナーベゼルを備えた本格ダイバーズではないものの、防水性を高めるためにワンピースケースを採用していた点が特徴だ。14角形のベゼルをねじ込むことでケースを密閉し、ムーヴメントを風防側から取り出す構造となっている。裏ブタを廃したことで、裏面からの浸水リスクを軽減できるというメリットがあった。

また、2時位置と4時位置に備わるリューズにも注目したい。根元に刻みのない寸胴型の専用品が採用されており、JLロゴ入りの純正リューズが残っている点も、この個体の魅力と言えるだろう。

搭載されるCal.916は、1969年に登場した全回転ローター式の自動巻きアラームムーヴメントである。それ以前のジャガー・ルクルト製アラーム機構では、裏ブタ側に立てられたピンを、ムーヴメント内部のハンマーで叩くことで音を響かせる構造を採用していた。しかし、この方式では全回転ローターとピンが干渉してしまうため、従来は可動域を制限したバンパー式自動巻き機構を用いる必要があった。

だが、バンパー式自動巻きは動作時の振動が大きく、60年代後半には旧式化しつつあった。そこでCal.916では、中心部をくり抜いた大径ボールベアリング式ローターを採用。その空洞部分に裏ブタ側のピンを通すことで、全回転ローターとアラーム機構を両立させたのである。ピンは自動巻きユニット下部に配置されたハンマーと接触し、アラーム音を発する仕組みとなっている。

さらに、この構造を成立させるため、巻き上げ効率に優れるラチェット式の自動巻き機構を採用している点も興味深い。構造的にはセイコーの“マジックレバー”に近い設計を持つ機構であり、限られたスペースの中で高効率な巻き上げを実現していた。

メモボックスの中でも異色の存在と言えるスノードロップ。70年代らしい前衛的なデザインと、ジャガー・ルクルトの技術的挑戦が色濃く反映された一本として、ぜひ注目してみてほしい。

【LowBEAT Marketplaceでほかのジャガー・ルクルトの時計を探す

 

 

 

文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender銀座

次のページへ >

-LowBEAT magazine, 最新入荷情報

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com