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いい味出してるね【1969年の自動巻きクロノ開発競争】スイス勢に挑んだセイコー5スポーツスピードタイマー|菊地吉正の時計考_048

1973年11月16日、NASA宇宙飛行士ウィリアム・ポーグが宇宙で着用したモデルが、この個体のように赤青ツートンベゼルにイエロー文字盤で、外周のミニッツカウンターまわりが白にデザインされた個体だった(JAPAN VINTAGE WATCH SHOP)

1969年という年は時計産業にとっては様々な意味でメモリアルイヤーと言えるのかもしれない。スイスの時計業界に歴史的な影響を与えたクォーツウオッチがセイコーから発表されたのもこの年であり、自動巻きクロノグラフムーヴメントが初めて登場したのも69年だった。

自動巻きクロノグラフといえば、同年1月10日に当時世界最高峰の自動巻きにして毎時3万6000振動と超ハイビートなクロノグラフムーヴメント、エル・プリメロがゼニス=モバードから発表された。それに次いで、ホイヤー・レオニダスとブライトリング、そしてそこにビューレン・ハミルトン、デュボア・デプラが参加した4社連合によって4年かけて開発された、Cal.11が同年3月3日に発表されている。

そして日本のセイコーも実はこの年の同年5月に自社開発の自動巻きクロノグラフムーヴメント、Cal.6139を搭載した5スポーツ・スピードタイマーを世界に先駆けて発売した。つまりいち早く発表したのはスイス勢だが、商品化して販売したという意味では、セイコーが世界に先駆けた偉業とも言えるのかもしれない。ちなみにセイコーが国産初の手巻きクロノグラフの腕時計を発表したのは東京オリンピックが開催された1964年。そのわずか5年後に自動巻きというのも驚かされる。

セイコーが開発したCal.6139は、なんとクロノグラフの制御にコラムホイール。動力の伝達には垂直クラッチと独自のマジックレバー方式を採用して巻き上げ効率をアップ。制度面においても優れた性能を発揮した。そして、若者向けの “5スポーツ” シリーズに搭載され、圧倒的なリーズナブルさも追い風になって当時大ヒットとなったのである。まさに時計史に名を残すクロノグラフのひとつに数えられるだろう。

現在の市場価格は10万円台から30万円台。色使いなどバリエーションも豊富で、派手なデザインほど人気が高く価格も割高で流通している。比較的に丈夫に作られているが、購入の際はクロノグラフ機構を含めた動作確認が必須だ。

【画像】3種類のデザインと価格の違いをチェック

[時計]
セイコー 5スポーツ・スピードタイマー。Ref. 6139-600。Cal.6139。1969年製。36万3000円
協力◎JAPAN VINTAGE WATCH SHOP(https://lowbeat.jp/jvw-shop/

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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