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【普及機らしからぬセイコーの薄型手巻き】前衛的な文字盤やモノコック構造のケースが特別感を放つ“スカイライナー”

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


セイコー
スカイライナー

今回取り上げるのは、1967年頃に諏訪精工舎で製造されたセイコー スカイライナー、Ref.6220-7080だ。

独特なトノー型のミドルケースや、9時位置にセイコーロゴを配したアシンメトリーな文字盤。さらに、横方向の筋目仕上げを基調とした文字盤の中で、12時位置と6時位置のインデックスを結ぶように施された縦方向の筋目仕上げなど、幾何学的で、セイコーらしからぬ大胆なデザインを取り入れている点が印象的である。

諏訪精工舎が手掛けた薄型高級機“ライナー”の普及版として、61年から製造が開始されたスカイライナー。若年層をターゲットにしていたとされ、防水ケースを採用したスポーティなデザインのモデルも展開されていた。加えて、当時の純正ステンレススチール製ブレスレットが装着されている点も見逃せない。

そのなかでも、今回取り上げた個体は、裏ブタがミドルケースと一体化した、モノコック構造のワンピースケースを採用する珍しい仕様であった。ケース裏面の“ONE PIECE CASE”の刻印がそれを示している。基本的に、同モデルはスナップバック式の裏ブタを採用し、製造当時の基準では30m防水、もしくは非防水仕様であったため、ワンピースケースを採用した本個体の気合の入りようが伝わるはずだ。

もちろん、リューズのパッキンの劣化や風防の損傷によって気密性が失われる可能性もある。しかし現在のアンティーク市場を見る限りでは、同じワンピースケース仕様の個体は文字盤の保存状態が非常に良好なものが多く、気密性に優れていたことがうかがえる。

【写真の時計】セイコー スカイライナー。Ref.6220-7080。SS(32mm径)。手巻き(Cal.6220)。1967年製。5万9800円。取り扱い店/WTIMES

【画像:幾何学的な文字盤やモノコック構造のケース、純正ブレスレットの状態を見る(全5枚)

67年頃のセイコーのカタログを確認する限りでは、ステンレススチール製のノンデイトかつスナップバック式を採用したモデルが7000円であったのに対し、今回取り上げたノンデイトのワンピースケースモデルには8500円の価格が設定されていた。この1500円の価格差は、67年当時の大卒初任給を参考にすると、現在の感覚ではおよそ1万3000〜1万4000円程度に相当するようだ。当時の若いビジネスマンにとって、少し背伸びをすれば手の届く、絶妙な特別感を備えたモデルであったことがうかがえる。ちなみに、当時の8500円という販売価格は、現在の貨幣価値に換算すると、およそ8万円前後であった。

本モデルに搭載されるCal.6220の基本設計は、上位機種のライナーと同様であり、諏訪精工舎が56年に製造を開始した手巻き時計“マーベル”をベースとしている。地板や受け板を薄型化しつつ、各歯車の軸も短くすることで、マーベルでは4.4mm厚であったムーヴメントが、スカイライナーのCal.6220では3.35mmまで薄型化されていたのだ。

本ムーヴメントは手巻きながら、軸受け部分に21石ものルビーを使用しているため、ある程度の耐久性は期待できる。しかし、全体の薄型化に伴い、一番車(ゼンマイを収める香箱車)の上下受け部分は薄く設計されており、摩耗が起こりやすいという弱点もある。特に、当時の国産時計では、地板に使用されていた素材が海外製品と比較するとやや柔らかく、受け石が使用されていない箇所が摩耗しやすいという特徴があった。そのため、定期的にオーバーホールを行うことを推奨したい。

アンティークのセイコーでは、グランドセイコーやキングセイコーといった花形モデルが人気を博している。しかし、それらを支えた普及機のなかにも、隠れた名作は数多く存在する。国産時計の愛好家の方にはぜひ、今回取り上げたスカイライナーのように、普及モデルの中に眠る名作を探してみてほしい。

 

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文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES

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