アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ジラール・ペルゴ
ジャイロマチック ディープダイバー
今回取り上げるのは、1970年代に製造されたジラール・ペルゴのジャイロマチック ディープダイバーだ。
マットな質感のターコイズブルー文字盤や、ケース内部に設けられた回転式のインナーベゼルなどの意匠が特徴的なダイバーズウオッチである。文字盤のカラーリングこそ異なるものの、近年同社から復刻モデルが発売されたことでも記憶に新しい名作シリーズだ。
14角形のねじ込み式のベゼルや2時位置と4時位置に配された網目模様のリューズなど、70年代にIWCやロンジンをはじめとした数多くのメーカーで採用されたケースデザインが採用されている。
ケースやブレスレットは全体的に傷取りのために研磨仕上げが行われているものの、オリジナルのケースシェイプが崩れない程度にとどめられている。また、クラスプにGPロゴの入った純正のステンレススチール製ブレスレットが付属している点も見逃せない。

【写真の時計】ジラール・ペルゴ ジャイロマチック ディープダイバー。Ref.9108FA。SS(40mm径)。自動巻き(Cal.460)。1970年代製。79万2000円。取り扱い店/モンテーヌサカエチカ
【画像:ターコイズブルーの文字盤やインナーベゼル、純正ブレスレットの状態を見る(全6枚)】
ムーヴメントには自動巻きのCal.460(またはCal.461)を搭載。このムーヴメントはエボーシュメーカーのフォンテメロン社製、Cal.905をベースにジラールペルゴが手を加えていたようだ。分かりやすい部分では、テンプ周りの改良で、耐震装置はインカブロックからキフショックに、緩急針はトリオビス式の微調整ネジを採用することで、精度と信頼性の向上を図っていたようだ。
また、本モデルは裏ブタの内部に特殊なスプリング構造を仕込んだ“スーパーコンプレッサー”と呼ばれるケースを採用している点も特徴だ。この構造は、潜水時に水圧が高くなればなるほど、その圧力によってバネが仕込まれた裏ブタが内側のゴムパッキンに強く押し付けられ、自動的に防水性が増していく仕組みとなっている。なお、“スーパーコンプレッサー”はケースメーカーであるEPSA(Ervin Piquerez S.A.)が開発した機構として知られている。
この構造は、経年劣化や圧力による変形が起こりやすかった当時のパッキン素材を補う目的もあったとされる。通常のスクリューバックケースのように、強いトルクで常時パッキンを圧縮する必要がなく、必要に応じて水圧を利用して密閉性を高めるという、非常に合理的な発想だったのだ。
現代では、パッキンやガスケット類の素材技術が進歩したことで、経年劣化や圧力による変形が起こりにくくなり、ねじ込み式裏ブタを強固に締め込むことで、高い防水性能を長期間維持できるようになった。しかし、素材技術がまだ発展途上だった当時において、“水圧を利用して気密性を高める”という逆転の発想で、実用性と高い防水性を両立させたスーパーコンプレッサーケースは、当時のダイバーズウオッチにおける革新的な機構のひとつだったと言えるだろう。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎モンテーヌサカエチカ
