振り子式自動巻き機構をもつドイツ時計“ハマティック”、その2020最新作に施された“black-or”とは。

 ドイツ・グラスヒュッテの高級時計ブランド“モリッツ・グロスマン“。9月5日の記事「【実機レビュー】これが自動巻き? なんと振り子式を採用した革新的機構、その驚きの仕組みとは!?」では、同社初となる自動巻きモデル“ハマティック”について、その革新的なメカニズムを取り上げた。

 そして今回2020年新作モデルとして、そのハマティックのブラック文字盤を備えたホワイトゴールド仕様が新たに発表されたので紹介したい。実はこの新作、文字盤上にはモリッツ・グロスマンが1875年に製作した懐中時計と同じ当時のロゴデザインを採用。何と世界限定25本という特別仕様なのである。

ハマティックの最大の特徴はこの革新的な自動巻き機構。ラグビーボールの形をしたハンマー型ローターが、腕の動きによって左右に振れることでゼンマイを巻き上げる

 そして、この文字盤のブラックだが、ここにも今回特別な仕上げが施されているという。グロスマンが採用するジャーマンシルバー製の文字盤は、まず初めに限りなく黒に近いダークグレーにペイントされる。

 そしてその表面には“black-or(ブラック・オア)”と呼ばれる鏡面仕上げが施されているというのだが、これはセラミック質の固いラッカーを何層にも重ねて塗り、一層ごとに磨きを施し、そして艶出しをするというかなり手の込んだもので、鏡面仕上げといってもかなり独特のものらしいのだ。

 black-orという仕上げ自体、筆者はまだ見たことがないためどれほどの美しさなのかは正直わからないが、これが大きくはっきりとしたホワイトのローマンインデックスと見事なコントラストを生み出し、よりシャープな印象に仕上がっているということのようだ。

Ref.MG-002708。K18WG(ケース径41 mm、ケース厚11.35 mm)。日常生活防水。自動巻き(Cal.106.0、毎時2万1600振動、約72時間パワーリザーブ。世界限定25本。627万円

 価格は627万円とかなりの高額。しかしながら世界に25本しか存在しないというこの稀少性は、革新的機構や手の込んだ美しい文字盤に加えて、きっとこのモデルの大きなアドバンテージとなることは間違いない。

モリッツ・グロスマン ブティック TEL.03-5615-8185

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。