【実機レビュー】チューダー50年目にして製品化された幻の軍用時計を着けてみた!

 3月から4月にかけてスイスで開催を予定していた新作時計の見本市が、新型コロナウイルスの影響で相次いで開催中止を発表。この記事を書いている2月28日時点で中止を決定していないのは、何とバーゼルワールドのみとなってしまった(※バーゼルワールドも日本時間の28日夜に延期を発表)。バーゼルワールドはロレックスやパテック フィリップが参加しているだけに、その動向が注目される。

 そんなバーゼルワールドで2019年に発表された新作のなかでも注目度の高かったモデルのひとつにチューダーの“ヘリテージ ブラックベイP01”が挙げられる。なかなか市場に出回っていないなか、ラッキーなことに実機を借りることができたため、実際に見て触った印象を紹介したいと思う。

 さて、最近のチューダーは、過去のモデルをリバイバルさせて人気を博しているが、このモデルはそれらと比べてもかなり個性的な作りだ。実はこれも過去のアーカイブから復刻されたものなのである。

 ただ、これまでとちょっと違うのが、このベースとなったモデルは最終的には製品化されなかったプロトタイプだったという点だ。そのため“P01”とは“最初のプロトタイプ”という意味をもつ。

TUDOR ヘリテージ ブラックベイ P01。Ref. 70150。SS(42mm径)。200m防水。自動巻き(Cal.MT5612、毎時2万8800振動、約70時間パワーリザーブ)。12時間表示双方向回転ベゼル、デイト表示付き。国内定価:43万3400円

 チューダーは、1950年代からアメリカ海軍に採用されていたオイスタープリンス サブマリーナ、Ref.7928の後継機を “コマンドー”のコードネームで、67年から開発をスタートさせている。そして完成したのがRef.7016だった。しかしながら最終的には製品化されず、幻の存在となっていた。それから50年、ブラック ベイ P01としてようやく日の目を見たということなのである。

 最大の特徴は68年に特許を取得したというベルトとケースとの接合部分を覆う、エンドリンクと呼ばれるカバーだろう。そのためラグ部分が大きく張り出しており、軍用らしい堅牢かつ無骨な雰囲気でかなりの存在感だ。しかも今回は限定ではなくレギュラーモデルという点も見逃せない。

 しかしながらレギュラーモデルとはいえ、正規店はもちろんのこと、並行輸入店でも入荷するとすぐ売れてしまい、市場には現在ほとんど出回っていない状況には変わりはない。そのため買いにくいモデルとなっている。

 そして現在の価格だが、国内定価は43万3400円と、このタイプの時計にしては比較的に手頃な価格なのだが、並行輸入店での実勢価格は70万円前後と残念ながらかなりのプレミアム価格だ。

【ほかにないユニーク構造】ラグを覆うエンドリングと呼ばれるカバーは12時側だけヒンジ(蝶番)が付いており上下に開閉。閉じるとベゼルと噛み合い、逆回転しないようにストッパーの役目を果たす。1968年に特許取得済み

【落下防止にうれしいDバックル】厚くて大振りなケースのためにヘッド部分が重い。そのため時計の着脱の際に落としやすい。その点でDバックルはありがたい

【普段使いには厳しい大きさ】ケース幅は42mmだが縦方向はラグ部分が特殊構造のためにかなり大きい。厚さも約14.5mmと分厚いため普段使いには厳しい

【着けてみました】全体の雰囲気はまさに軍用時計然とした無骨な雰囲気でなかなか魅力的なのだが、まず実機を見て真っ先に感じたのがその大きさだった。ケース径は42mmと数字的にはものすごい大きいというわけではないのだが、縦方向のサイズはかなり長いのでここは注意したほうがいいだろう。

 なぜかというと、手首の幅に対してちょうど良いサイズというのは、ケースの左右幅ではなく実際には縦方向のサイズが手首の幅に対して納まりがいいかどうかだからだ。しかもこのモデルの場合は、ケースだけでなくラグ部分も結構ぶ厚いため、恐らくは大柄な人でないと着けても安定しないのではないかと思われる。

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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