【ロレックス、ルクルト、ブライトリング】ジャズの帝王 “マイルス・デイヴィス”が愛用した3つの腕時計

 マイルス・デイヴィスは50枚以上のスタジオアルバムをリリースし、世界中で数え切れないライブパフォーマンスを行ってきた。また、彼はファッションセンスが良いことでも知られており、トレンドセッターでもあった。 彼のファッションは音楽が進化していくのと歩調を合わせるように生涯において明確な変化を遂げており、今回は、マイルス・デイヴィスの音楽と共に3本の腕時計を紹介する。

独特の美意識が光る、ジャズの帝王の愛用時計とは

 1944年、18歳の若さでセントルイスからニューヨークの名門ジュリアード大学に奨学金を得て入学した。 昼間は大学でクラシック音楽を学び、夜はチャーリー・パーカー、マックス・ローチ、セロニアス・モンクなどと共にビバップを演奏していた。最終的に大学を中退するのだが、1年間の授業を受けるより、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーとのセッションの方が多くのことを学ぶことができたと述べている。


《クールの誕生 – Birth of the Cool》

 1944年にチャーリー・パーカーのビバップ・クインテットのメンバーとしてプロデビューし、48年まで演奏した。 57年にリリースされたアルバム“Birth of the Cool”は、彼を瞬く間にスターダムに押し上げ、アップテンポで即興的なビバップ・サウンドから、クラシック音楽の影響を受けたアレンジを取り入れたスローでクールなサウンドへと変化させている。

 今回紹介することはできないが、この頃、彼はブルックスブラザーズのスーツとボタンダウンシャツを着こなし、ジャガー・ルクルトと思われる長方形ゴールドケースにブレスレットの時計を身に着けていたようである。

 59年にリリースしたアルバム“Kind Of Blue”は、音楽史の中で最も説得力のあるアルバムの一つとされ、伝説的なジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エヴァンス、ポール・チェンバース、ジミー・コブからなる、アンサンブルで制作された。このアルバムはピアニストのビル・ エヴァンスのピアノスタイルを中心に企画され、マイルスとビル・ エヴァンス が親しんだ作曲家、ジョージ・ラッセルのモーダル・ジャズの考え方を取り入れたものである。


《ビッチェズ・ブリュー – Bitches Brew》

 1960年代に入ると、マイルス・デイヴィスはウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムズと組み、フリー・ジャズの実験を開始。ミュージシャンたちが対等に貢献できるようにした。

 彼はマイルス・スマイルズ、E.S.P、ネフェルティティなどの作品を含む6枚のアルバムをリリース。 その後、ロック、ソウル、ファンクへの興味を示し、70年にアルバム“Bitches Brew”をリリースし、ディストーションやグルーヴをベースにしたエレクトリック・ジャズを築き上げることになる。


 この頃のマイルス・デイヴィスは、イタリアンファッション、フレンチファッションを好んでいたようだが、 時計に関してはスイスブランドを愛用しており、ブライトリング のナビタイマー(Ref.806)に、バンドストラップで装着して演奏中にも愛用していたようだ。 ブライトリング ナビタイマーは世界初の航空計算尺付きクロノグラフで昨年、リ・エディションされ、1959本が限定販売された。

 もうひとつ、この頃にマイルスが着けているのが確認できたのがジャガー・ルクルトのメモボックスGT (Ref. E861)だ。“GT”はフランス語の“Grande Taille”を略したもので“大きいサイズ”という意味である。ユニークなオーバルケースを採用したデザインが70年代独特の雰囲気を感じさせる。


《ユア・アンダー・アレスト – You’re Under Arrest》

 1975年から80年まで体調不良のため活動休止し、81年に復帰したマイルスは、ジャズ、ロック、ファンク、ポップス、ヒップホップなどを演奏した。 “Less is More”という演奏方法を編み出し、少ない音数で演奏することで、多くの音程とタイミング、そしてバンドリーダーとしての役割を重視した。

 この時代は、几帳面に仕立てられたイタリア製のスーツから、より折衷的なファッションスタイルへと変化し、日本人ファッションデザイナーである佐藤孝信のオーダーメイドの服をよく着ていた。

 85年にリリースされた“You’re Under Arrest”のプロモーション写真では、イエローゴールドのロレックスのデイデイトを着用しているのが確認できる。

 “ジャズの帝王”として君臨したマイルス。彼の生み出す音楽が魅力的であったのは言わずもがなだが、トランペットを吹く手首とファッションに対するこだわりからは、音楽を“魅せる”ことに注力する、彼独特のダンディスムをうかがうことができる。


文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。

https://www.instagram.com/spherebranding/

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