Q17.ロレックス3大発明のひとつ“デイトジャスト機構”開発の発想の原点は何か【ロレックス編】

A.カメラのシャッター

 ロレックスが誇る3大発明について、オイスターケース(Q.12)、パーペチュアル(Q13)に続いて、今回は三つ目の、“デイトジャスト機構”について取り上げる。

 デイトジャストは、ロレックスがこれまで開発してきたオイスターケース(防水ケース)にパーペチュアル(自動巻き)、そして3時位置にカレンダー機構が搭載されるなど、ロレックスが掲げてきた実用時計の完成形として創立40周年を迎えた1945年に発表された。

 このデイトジャストだが、午前0時に瞬時に日付けが切り替わる機能(ジャストチェンジ)から名前が付いたと言われるが、当初その日付け表示は、午前0時のかなり前から徐々に時間をかけて切り替わる仕組みのものだった。
そして、デイトジャスト機構が完成して特許を取得したのが1950年代半ば。当時のデイトジャストに搭載された自動巻きムーヴメントCal.1065からだったのである。つまりデイトジャスト誕生から何と10年後のことだった。

 ロレックス創業者のハンス・ウイルスドルフが、「カメラのシャッターは1/10秒でも動く。カメラも腕時計も同じ機械だから、カメラのシャッターのように瞬間的に日付けを切り替えられる機構を作りたい」と、技術者に提案したことから開発が始まったと言われる。

1955年に出願されたデイトジャスト機構。スイス特許番号322341。この機構が初めて搭載されたのがCal.1065からだ。出典◎特許情報プラットフォーム https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

 そのデイトジャスト機構とは、どのようなものだったのか簡単に触れておきたい。

 通常のカレンダー機構は、24時間で1回転する日送り車に設けられている“ツメ”が午前0時に差し掛かると、1〜31までの数字がプリントされたカレンダーディスク内側にある31個の歯と噛み合い日付けを進める。

 一方のデイトジャスト機構の場合は、日送り車に連動する歪んだハートのような形状のカム[10]と、先端の突起部分がそのカムに接するカレンダーヨーク[13]と呼ばれるパーツ、そしてそのカレンダーヨークの突起部分をカムに押し当てているバネ[15]の三つが装備されている。
 時間が進むにつれ日送り車にある特殊な形状のカムも回転し、カムの形状に沿ってカレンダーヨークが押し戻されて徐々にバネに力が蓄えられる。
0時に差し掛かる部分のカムの形状は凹んだ形になっているため、その部分に差し掛かると押し戻されていたカレンダーヨークへの力が一気に解放され、同時に日送り車に作用して、瞬時に日付けがひとつ進むというわけだ。

 このデイトジャスト機構自体は当時としてはかなり画期的なことだったが、デイトジャストにはそれだけでなく、センターセコンドを採用したり、日付けも左手首に着けたときに袖口から確認しやすいようにと3時位置の小窓に表示させたりと、紳士用腕時計の新たなスタイルを示したことのほうが当時の時計業界に与えた影響は大きかったと言えるのかもしれない。

ロレックスは独自の機構を搭載したモデルの文字盤には、必ずその機構の名称を記載している。写真は“OYSTER”、“PERPETUAL”、そして”DATEJUST“と表示されている。画像はCal.1065を搭載さしたRef.6605。画像提供◎ケアーズ

 

文◎松本由紀(編集部)/協力◎ケアーズ

<参考文献>
・『ロレックスの力』(ワールドフォトプレス、2003年)P390〜P391
・・出石尚三『ロレックスの秘密』(講談社、2002年)P143〜P149

 

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