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【マンネリ化する時計界に一石を投じる新勢力】“マイクロブランド”編集部が注目する6選

 景気の低迷とコロナ禍によって、停滞感が拭えない状況が続いている日本の時計市場。しかし、海外市場では新たな動きを確認できる。それがマイクロブランドの台頭だ。

 マイクロブランドとは数百個単位の少量で商品を製造し、BtoC(企業が直接ユーザーにプロダクトを提供)で商品を販売する小規模の時計ブランドを指す。自社のオンラインショップでの直販を主軸にすることで事業コストを削減しており、低価格でありながら高品質な時計をラインナップしているのが大きな魅力である。

 また、すべてに当てはまるわけではないが、オーナー自身が時計愛好家であることが多いため、重要な顧客であるコレクターの嗜好を捉えた商品を作れるというのもマイクロブランドの特徴。手の届く価格、時計好きのツボを心得た意匠を兼ね備え、目の肥えた時計好きから支持を集めて、勢力を拡大しているというわけだ。

 製造数が少ないため一大トレンドに発展する可能性は低いが、マンネリ感が強い昨今の時計界に、一石を投じる存在であるのは間違いない。

 今回は、そんな“マイクロブランド”をクローズアップ。日本ですでに流通しているブランドと、日本に正規代理店のない未上陸ブランド、二つのカテゴリーでそれぞれし編集部が注目する三つのブランドを紹介していく。


【日本で買える注目のマイクロブランド3選】


【日本で買えるマイクロブランド_其の1】
YEMA(イエマ)
リストマスター トラベラー

 1960年代に製造されていた“リストマスター”の復刻プロジェクトで、イエマのCEO兼デザイン責任者であるクリストファー・ボール氏が製作したモデル。目を引きつけるのが、オクタゴンケースとクッション型のベゼルだろう。ケースはオーデマ ピゲのロイヤルオークを彷彿とさせる八角形のフォルムを採用しているが、リューズを備えた右側を直線、左側を曲線と、左右非対称にデザインすることで、個性をプラス。表面は縦のヘアライン、面取りしたエッジ部分を鏡面に仕上げることで、立体感と高級感を高めている。

■SS(39mm径)。10気圧防水。自動巻き(自社製Cal.YEMA2000)。10万8900円


 固定エンドリンクでケースとブレスレット連携させたシームレスなデザインがラグスポテイストを醸し出す。ケースは直径39mmで、上下のラグの先端までの長さは43.5mm、厚さが12mm。見た目の印象よりも実寸はコンパクトなため、手首の内側に納まってくれる。


YEMA(イエマ)
ミーングラフ スー・マリン
 1960年代の名作ミーングラフからインスパイアされたモデル。立体的なオーバルケース、埋め込み式で設置された両方向回転ベゼルなど、ミーングラフ独特のアイコニックなデザインを継承しつつ、“スー・マリン(フランス語で“潜水艦”の意味)というモデル名のとおり、ダイバーズウオッチに匹敵する30気圧防水を確保。なぜかヘリウムガスエスケープバルブも装備しており、デイリーユースの時計としてはオーバースペックと言える実用性を備える。

■SS(39mm径)。30気圧防水。自動巻き(自社製Cal.YEMA2000)。15万8400円

【問い合わせ先】
イエマジャパン
TEL.03-5875-8810
販売サイト
https://timegear-onlineshop.com


【日本で買えるマイクロブランド_其の2】
BALTIC(バルチック)
アクアスカーフ ブラックシルバー

 時計コレクターであるエティエンヌ・マレクが創設したフランスの時計ブランド。アンティークウオッチからインスパイアされた完成度の高いモデルを手頃な価格で展開している。アクアスカーフは往年の名作ダイバーズウオッチを彷彿とさせるフラッグシップモデル。39mmと程よいサイズ感と、名作フィフティファゾムスを彷彿とさせるレトロダイバーテイストのデザインが目を引く200m防水のダイバーズウオッチコレクションだ。アンティークテイストを強調するドーム形風防はミネラルガラスではなくサファイアクリスタル、ケースの素材には316Lステンレススチールと素材にもこだわりが光る。

■Ref.bl-aquablks。SS(39mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.MIYOTA 9039)。9万9000円

【問い合わせ先】
エイチエムエス ウォッチストア表参道
TEL.03-6438-9321


【日本で買えるマイクロブランド_其の3】
KUOE(クオ)
オールド スミス 90-002(Green)

 2020年に京都で設立された新進気鋭の国産時計ブランド。このモデルは、1940年代から70年代にかけてイギリス軍で採用された軍用時計をモチーフにした定番コレクション。ミリタリースタイルの無骨な意匠と自動巻きモデルながらも35mm径という小振りなサイズ感に加え、デイリーユースに最適な10気圧防水を確保。蓄光塗料にオールドラジウムカラーを採用することで、アンティークウオッチを思わせるオーセンティックな雰囲気に仕上げている点もこだわりが光る。本作は、スーパールミノバ夜光を使用した文字盤とサファイアガラス風防のアップグレード用パーツ、換え用のブレスレットも展開しているのもポイントだ。

■SS(35mm径)。10気圧防水。自動巻き(セイコー製Cal.NH35A)。3万4800円(アップグレード用文字盤の価格、5000円を含む)

【問い合わせ先】
クオ グローバル
info@kuoe-jp.com

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