小スライド 意外と知らない時計知識

【Q119】ムーヴメント(駆動装置)メーカーって何?どんな会社があるの?

A.ムーヴメントを専門に製造する会社であり、現在はETAやセリタといった様々なムーヴメントメーカーが存在する

 昔から時計産業においては分業制が一般的。
 文字盤は文字盤メーカーが、ケースはケースメーカーというふうに、それぞれ専業のメーカーが製造を担い、これらを組み立て、最終的に時計メーカーが販売するというシステム。ムーヴメントもまた然りだ。
 今回は現存する、主なムーヴメントメーカーについて取り上げていきたい。

 

・ETA(エタ)社
スイスの時計ムーヴメントメーカーの最大手企業。ニコラス・G・ハイエック率いるスウォッチグループの傘下。
グループはもとより多くの時計メーカーにムーヴメントを供給していたが、2002年にグループ外への供給停止を宣言して以降、供給数を徐々に絞っている。
ETA社はプゾーやユニタス、バルジューといった往年のムーヴメント専業メーカーを統合して成長していったのだが、これらのメーカーについては次回お届け予定。

・SELLITA(セリタ)社
スイスに拠点を置くセリタ社。もともとはETA社ムーヴメントの組み立てを行うメーカーであったが、ETA社の供給停止宣言を受けて、ETA社の代替機製造に着手。一気にシェアを広げた。

・MIYOTA(ミヨタ)社
1959年にシチズン時計が建てた長野県、御代田町(みよたまち)にあるムーヴメントの製造工場を原点とするムーヴメントメーカー。
80年にはムーヴメントの外販事業を開始し、世界中の時計ブランドにムーヴメントを供給をし始める。

・TMI(ティーエムアイ)社
1987年に設立されたTime Module(HK) Ltdが母体。2015年にはセイコーの完全子会社され、SEIKO Manufacturing(HK)に名称変更。
同じく電子デバイスなどを手がけるセイコーの子会社、セイコーインスツル製の外販用ムーヴメントを世界中のブランドに供給している。

・KENISSI(ケニッシ)社
チューダー傘下にあり、チューダーとムーヴメントを共同開発している部品メーカー。
一般にはムーヴメントを供給しておらず、チューダー以外だと株式を20%所有しているシャネルのほか、ノルケインやブライトリングといった一部ブランドにのみ供給している。

・CONCEPTO(コンセプト)社
2006年に設立された新進の汎用ムーヴメントメーカーで、クロノグラフの名機キャリバーETA7750の代替機Cal.99001の製造を行っており、ほかにもETA社3針ムーヴメント、ETA2824の代替機の開発にも成功。
さらにパーツの加工精度の高さも優れており、いずれもETA社との互換性は100%を実現しているという。またヒゲゼンマイを含む調速機の自製も行っている。

・SOPROD(ソプロード)社
こちらもセリタ社と同じく、ETA社の組み立てメーカーとして創業。
ETA社3針ムーヴメントのETA2892-A2の代替機であるCal.A-10を進化させたA10-2を生産しているほか、このA10をベースに、クロノグラフやパワーリザーブインジケーターなど、様々なモジュールを付加して展開。
さらにヒゲゼンマイやテンプといったキーパーツのほとんども自社製造だ。

 

 これらはあくまで主要なメーカーであり、ほかにはフォッシル傘下のSTP社や中国を拠点に活動するシーガル社が存在する。

 ここまで見ていただいたらおわかりかと思うが、スイスの各時計メーカーは昔からETA社に頼りきっていたところがあり、供給停止を受けてから、様々な新興ムーヴメントメーカーが台頭しETA社に変わるムーヴメントを製造していった。

写真はETA社のムーヴメント。ムーヴメントの供給問題は、ETA社によって時計業界全体を大きく揺るがす話題となった

 

文◎松本由紀(編集部)

 

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