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【時計を作ってわかった】シチズン・ミヨタ、セイコーなど日本製汎用ムーヴメント事情|OUTLINEニュース no.109

シチズン傘下のミヨタ製プレミアム機、Cal.9015を搭載するアウトライン・コンプレダイバー1960

今回のOUTLINEニュースは今週と来週の2回にわたって、アウトラインが採用するムーヴメントについて触れてみたい。

今年の8月に「マイクロブランド攻略BOOK」と題した雑誌を刊行させていただいた。マイクロブランドとは年産1万本以下という小規模時計メーカーのことを指しており、これが世界中を見渡すと1冊の雑誌が作れるほどに数多く存在する。

しかも、それらのマイクロブランドは、どちらかというと時計愛好家が趣味で立ち上げたブランドも多く、そのクオリティの高さから6〜7年ぐらい前から世界的に注目されるようになった。そしてアウトライン然り、4〜5年前からは日本でも増えているのだ。

この背景にあるのは、製造技術の進歩により品質の良いものを比較的に安価で製造できるようになったことと、2010年頃から注目度がグッと高まったクラウドファンディングという新たな資金調達方の存在も大きかったと言える。

そして2020年に発生したコロナ禍の行動制限により越境ECが飛躍的に伸びたことで、グローバルでの販売がしやすくなったこともかなり追い風になったことはいうまでもない。

8月に発売して好評だった「MICROBRAND攻略BOOK」。世界中のマイクロブランドを集めた初の雑誌である

そして忘れてならない点がもうひとつ、それは腕時計の心臓部、ムーヴメント(駆動装置)の存在である。これら世界中のマイクロブランドの多くが、日本メーカー製の汎用ムーヴメントを採用しているのだ。

つまり、信頼性が高いうえにスイス製に比べるとかなり安価な日本製ムーヴメントが使えることで、機械式ムーヴメント搭載モデルでありながらも日本円で10万円未満の腕時計が作れるようになった。このことも相当大きかったに違いない。

なお、日本の時計メーカーで汎用ムーヴメントを外販しているのは、セイコーとシチズン傘下のミヨタの2社である。ちなみにセイコー製の汎用ムーヴメントについてはグループ傘下で香港にあるタイムモジュール株式会社(2023年11月1日に株式会社セイコー・マニュファクチャリングから事業譲渡)がTMI名で世界に販売している。

さて、次回はミヨタとセイコー製の汎用ムーヴメントについて具体的に解説してみたいと思う。

>>>次ページで“コンプレダイバー1960”の詳細を紹介

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