言わずと知れた傑作時計、OMEGA(オメガ)のスピードマスター。1969年に人類初の月面着陸という偉業達成の際に携行されたほか、6度にわたる月面着陸プロジェクトに携帯され、“ムーンウオッチ”の称号を得た、伝説的なクロノグラフだ。
本記事では“究極の定番モデルを深掘り”と題して、スピードマスターの進化の歴史と魅力を徹底解説。1957年誕生の初代モデルからポストヴィンテージ後期世代にあたる第6世代モデルまで計6機種の変遷を深掘りしていく。
【写真】初代〜第6世代まで一気見せ!オメガの大定番、スピードマスター
●現在も引き継がれる伝説的クロノグラフ
オメガのスピードマスターは、言うまでもなくロレックスのデイトナと並ぶスポーツクロノグラフの代表格だ。誕生は1957年だが、60年以上前の初代モデルから、スポーツクロノグラフとして未来を見据えた先進的な設計がなされていた(シーマスター300で気密性と堅牢性に優れたスポーツウオッチを成功させていたオメガは、スピードマスターにもその堅牢性をもち込んでいたのだ)。
60年代の宇宙開発時代に、NASAがこのクロノグラフの性能の高さに目をつけ、65年にはNASAの厳しいテストをクリアして制式採用。69年にはアポロ11号計画に携行された。そして人類とともに初めて月面に到着したレガシーは、このモデルに“ムーンウオッチ”という称号を与えることになったのである。翌70年のアポロ13号で、酸素タンク爆発というアクシデントに見舞われたときも、軌道修正のための正確な秒計測を成功させてリカバーするという大役も担っている。

1stモデルから4thモデルまで搭載されたレマニア製ムーヴメント“Cal.321”
搭載されていたムーヴメントは、レマニア製手巻きの“Cal.321”。直径27mmと当時としては小振りなキャリバーで、これによりスピードマスターは気密性の高い防水ケースを採用できた。
初代モデルのRef.CK 2915の印象についても、現行モデルと基本的なデザインはあまり変わっていないことがわかる。ブラックベースの文字盤に三つのインダイアルが並び、その周囲をやはり見やすいタキメーターベゼルが配されている。このデザインの不変性も大きな魅力だろう。
●入門機として狙い目の第5世代
大きく仕様が変わったのは67年の5thモデルで、クロノグラフの制御がコラムホイール式からカム式に改められたCal.861に変更されている。これは生産性とメンテナンス性の向上を図ったもので、振動数も毎秒5振動から6振動にアップしている。

ムーヴメントがCal.861に刷新された5thモデル。1967〜96年までと30年近くも製造されたロングセラーで、流通量も多いことから50万円台から狙える/◎参考商品
この5thモデルは96年までの30年間近く販売されていたロングセラーで、ユーズド市場でも非常によく見かける(市場価格も、4thモデルまでの321搭載機とは大きく差がある)。初期の321にこだわるマニアが多いのも事実だが、初心者でとりあえずオールドスピードマスターの雰囲気を楽しみたいという人は、この5thが狙い目と言えるだろう。
【写真】クロノグラフの制御がカム式に変更!第5世代搭載のCal.861
●選択肢は増えたものの高額化した現代スピマス
5th以降もスピードマスターは世代交代を重ね、96年に6th、2014年に7th、21年に8thと進化している。過去のスピードマスターは当時のオメガの戦略なのか比較的抑えめの価格に設定されていたのだが、近年はブランド自体の高級化路線もあって、全体的にプライスゾーンを上げてきている。それと同時に仕様も向上しており、7thモデルからはサファイアクリスタル風防仕様(シースルーバック)も併売されている。
現行モデルではムーヴメントがオメガ自慢のコーアクシャルになり、その信頼性はますますアップしたほか、バリエーション展開もなされている。しかし、国内定価で100万円オーバーという高騰ぶりには、なかなかついていけないという人も多いだろう。
年々市場在庫が少なくなっている1stモデルは、相場も右肩上がりでもはや高嶺の花。狙い目となると、やはり前述のようにタマ数が多い5thや6thあたりになるだろう。高年式であれば状態の良いものが見つけやすいため、初心者にもおすすめだ。
文◎巽英俊/写真◎水橋崇行
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