アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ティソ
PR516
今回取り上げるのは、1970年代に製造されたティソ PR516だ。
ケースから突き出した凸形のラグからブレスレットが伸びる、ケース一体型ブレスレットを採用。70年代に流行したデザインが、スポーティな印象を与える。
青みがかったダークグレーのサンレイ文字盤とアプライドインデックス、根元部分を細く絞ったバトン針など、武骨さとスタイリッシュさを両立させたデザインが魅力的だ。インデックス外端に塗布された夜光塗料を、風防側の防水性を高めるテンションリングに反射させることで、少ない塗料でも視認性を高める工夫がなされていると考えられる点は、ティソのデザイナーの独創性が存分に発揮されているポイントだ。
裏ブタには、販売当時の“オメガ姉妹会社 チソット”と記されたシールが残されており、当時の様相を感じさせるポイントとなっている。デッドストック品であるため、保管時についたキズやサビ以外のダメージはほとんど見られず、良好な状態を維持している。

【写真の時計】ティソ PR516。Ref.44630-2X。SS(34mm径)。自動巻き(Cal.786-2)。1970年代製。18万8000円。取り扱い店/WatchTender銀座
【画像:文字盤の細部や裏ブタのシール、ケース一体形ブレスレットの状態を確認する(全6枚)】
ティソの公式によれば、PR516の“PR”には“Particularly Robust(特に頑丈)”という意味が込められており、“516”については、シリーズやモデル番号に由来するとされている。ただし当時、“PR516”の名を持つモデルは、ダイバースタイルやインテグレーテッドブレスレットなど多様なデザインで展開されていたため、単純な通し番号以上の意味を持っていた可能性もある。
ムーヴメントには、当時のティソで広く採用された自動巻きのCal.786-2を搭載。本ムーヴメントは、1930〜60年代に多種多様なキャリバーを生産した結果、生産効率が低下したという反省を踏まえて開発されたものだ。基本設計となるCal.781をベースに、手巻きや自動巻き、デイト表示など、さまざまな仕様に対応できる高い拡張性を備えた合理的な設計が採用されている点が大きな特徴である。
ティソの歴史資料『Tissot 150 Years of History 1853-2003』によれば、生産体制の見直しとムーヴメント種類の削減により、月産1万〜2万個だった生産数は、月産約10万個へと向上したとされている。
非常にシンプルな3針の手巻きムーヴメントをベースに、スイッチングロッカー式に近い構造のロッキング・ギア(揺動歯車)方式の自動巻き機構を組み合わせた構造を採用している。古典的ともいえる設計だが、安定した性能を誇り、毎時1万8000振動のロービート機でありながら実用的な精度を実現している。自動巻きの巻き上げ効率も良好で、しっかり整備された個体であれば、日常使用でも安定して動作してくれるはずだ。
アンティークのティソは、外装・ムーヴメントともに総じて高い品質を備えており、十分なメンテナンスを施せば、現在でも活躍できるポテンシャルを秘めている。
ブランドの地位や資産性の観点からアンティークウオッチ店での取り扱いが少ないティソだが、しっかりとしたケースの作りや安定したムーヴメント性能には目を見張るものがある。防水性や耐衝撃性の過信は禁物だが、アクティブなシーンでも活躍できるPR516に、ぜひ注目してみてほしい。
【LowBEAT Marketplaceでほかのティソの時計を探す】
文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender銀座
