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【90年代のデカ厚ブームはパネライだけじゃない!】機械式時計を完全復活させた“異端児ブランド”の功績|性別の垣根を超える腕時計 No.049

新規参入が極めて困難とされる時計業界において、1990年代デビューという後発ながら、瞬く間にメジャーブランドへと駆け上がったブランドが存在する。以前の記事ではパネライに焦点を当てたが、今回は90年代の機械式時計シーン復活の立役者、“フランク ミュラー”を紐解いてみたい。

【画像全11枚】ラウンド形クロノグラフも!ブランド黎明期の代表作


当時は愛好家の嗜好品であった機械式時計を、92年の誕生以降瞬く間に一般ユーザーまで認知させた功績は計り知れない。天才時計師フランク・ミュラーが仕掛けた、時代を揺るがす二つのキーワード。それは“官能的なトノーケース”と、常識を覆す“革新的な戦略”であった。

 

●94年誕生の大ヒットシリーズ“カサブランカ”

ブランド創設からわずか2年。フランク ミュラーの名を世界に轟かせたのが、94年登場の“カサブランカ”だ。

3針モデルのピンクサーモン文字盤タイプ。初期カサブランカの特徴として、インデックスが小振りな点が挙げられる

【画像】名作“カサブランカ”のクロノグラフモデル

大ヒットの大きな要因は、廉価ラインであってもデザインに相当なこだわりを見せたこと
最たる例は、繊細な曲線で構築されたスチール製のトノウ・カーベックスケースだ。当時、金無垢よりも硬いステンレススチールでこのフォルムを実現させることは非常に困難だったが、優秀なケースメーカーとタッグを組むことで量産化に成功。このケースにビザン数字インデックス、そして当時では新しかったヴィンテージ調のカーフベルトを採用したことでいまだかつてない独創的なスタイルが完成した。

さらに特筆すべきは、あえて汎用のETAムーヴメントを採用したことだ。
これにより安く販売することができ、大衆に広がっていったのである。超複雑時計で名を馳せた天才時計師が、内部機構への固執を捨ててデザインと価格に振り切った。この引き算の戦略こそが高級時計の門戸を広げ、ブランド躍進の原動力となったのである。

【次ページ】黎明期の希少モデルも!もう一つの代名詞“複雑機構”

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