アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ティソ
シースター
今回取り上げるのは、1970年代に製造されたティソのシースターだ。
ティソの歴史において、防水性や堅牢性を備えた実用スポーツラインとして古くから親しまれてきた名門シリーズであるシースター。一口にシースターと言っても時代ごとに様々な意匠が存在するが、本作はまさに1970年代という、時計デザインが最も大胆な変貌を遂げた時代の空気感をそのまま形にしたようなタイムピースである。
ヘアライン仕上げの重厚な卵型ケースに、繊細なメッシュベルトとブラウンのグラデーション文字盤を組み合わせたデザインが圧倒的な存在感を放つ。ケースサイズは38mm径ほどで、現代の基準から見れば決して大きくはないが、ベゼルレスの肉厚なミドルケースによって重厚さを演出している。
純正のメッシュブレスレットの完成度も高く、ブレスレット側面や端部の面取り処理がしっかりと施され、滑らかな装着感を実現している。ただし、ブレスレットの長さ調整はバックル根元のみでしか行えないため、購入時には事前に腕回りのサイズをチェックしておきたい。
流線形でありながら、ソリッドさも兼ね備えた造形はSF映画に登場するレトロフューチャーなガジェットを連想させる仕上がりだ。
また、本個体は販売当時のプライスタグや裏ブタの保護シールが残されたデッドストック品だ。シールの“チソット”表記やオメガ姉妹会社といった表記が時代の様相を感じさせる。

【写真の時計】ティソ シースター。Ref.44721E。SS(38mm径)。自動巻き(Cal.784-2)。1970年代製。14万8000円。取り扱い店/WatchTender銀座
【画像:文字盤の細部や裏ブタのシール、メッシュのブレスレットの状態を確認する(全6枚)】
ムーヴメントには当時のティソで広く採用された自動巻きのCal.784-2を搭載。本ムーヴメントは、1930〜60年代に多種多様なキャリバーを生産した結果、生産効率が低下したという反省を踏まえて開発されたものだ。基本設計となるCal.781をベースに、手巻きや自動巻き、デイト表示など、さまざまな仕様に対応できる高い拡張性を備えた合理的な設計が採用されている点が大きな特徴である。
非常にシンプルな本中3針の手巻きムーヴメントをベースに、スイッチングロッカー式に近い構造のロッキング・ギア(揺動歯車)方式の自動巻き機構を組み合わせた構造を採用している。古典的ともいえる設計だが、完成度の高さゆえに安定した性能を誇り、毎時1万8000振動のロービート機でありながら実用的な精度を実現している。自動巻きの巻き上げ効率も良好で、しっかり整備された個体であれば、日常使用でも安定して動作してくれるはずだ。
また、本ムーヴメントの派生機は、当時のオメガとティソが結成していた巨大時計グループ、”SSIH”に加入していたオメガやランコ(LANCO:ランゲンドルフ・ウオッチ・カンパニー)などのメーカーでも採用された実績をもつ実力派でもあるのだ。
ロレックスやオメガといったメジャーブランドのアンティークとはまた一味違う、当時のポップで挑戦的なウオッチデザインを反映したティソのシースター。現行の時計には真似のできない、袖口から覗く圧倒的な個性を愉しみたい方にこそ選んでほしいアンティークウオッチだ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender銀座

