アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロータリー
クロノグラフ
今回取り上げるのは、1970年代に製造された、ロータリーの自動巻きクロノグラフだ。
ロータリーはスイス・ラ・ショー・ド・フォンにて1895年の創業後まもなくイギリスへの進出を果たして同国において支持を集めたブランドだ。第二次世界大戦中にはイギリス軍の公式時計サプライヤーに抜擢された歴史をもつブランドでもある。
当時、急速に発展していた鉄道や航空、モータースポーツといった“スピードと近代化” への憧憬とオマージュが込められたとされる翼の生えた車輪のロゴが象徴的だ。
全体のデザインに注目すると、マットな質感の黒文字盤に良く映えるクリーム色に焼けた夜光塗料が特徴的で、同年代のミリタリークロノグラフを思わせる顔立ちに仕上げられている。ケース構造が近代化した70年代の時計らしく、フラットガラスの風防を用いた、ベゼルレスのスムースなケースラインが採用されている。9時位置と12時位置に配された、アシンメトリーなインダイアルが個性的な1本だ。

【写真の時計】ロータリー クロノグラフ。Ref.1010。SS(42mm径)。自動巻き(Cal.バルジュー7750)。1970年代製。21万8000円。取り扱い店/WatchTender銀座
【画像:アイコニックなインダイアル配置の文字盤やムーヴメントの状態を見る(全6枚)】
ムーヴメントには、1973年に登場して以来、数多くの自動巻きクロノグラフに搭載され、今なお活躍を見せるバルジュー(後にETA社と併合)のCal.7750を搭載。テンプ下の“VAL”の刻印から、バルジューがETAに併合される以前に供給されていたムーヴメントであることが読み取れる。
本ムーヴメントはパワフルかつ堅牢なベースに、プレス加工を多用して成形されたレバーやカム、バネ類で構成されたクロノグラフ機構が特徴的だ。カム式による動作制御と、スイングピニオン(揺動ピニオン)式による動力伝達を採用しており、信頼性と量産性に優れたムーヴメントであった。加えて、クロノグラフを停止させた際、クロノグラフの針を固定するブレーキレバーも搭載されていたため、より一層信頼性が高められていた。
簡素な設計の片巻き上げ式の自動巻きではあるが、重量のあるローターの慣性により、巻き上げ効率が優れているという点も見逃せない。
ちなみに本個体においては、通常では6時位置に配された12時間積算計を除外しているため、個性的な文字盤デザインとなっているようだ。
クォーツ式腕時計の普及により、バルジューの自動巻きクロノグラフの製造が一時中止されてしまった70年代。その激動の時代にあって、当時のクォーツ式では実現できなかった“クロノグラフ機構を搭載した時計”としての役割を全うした本作。独自のレイアウトと名機と名高いバルジュー7750を採用した自動巻きクロノグラフにぜひ注目してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WatchTender銀座
