アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ワックマン
レガッタ Ref.9804
今回取り上げるのは、1970年代に製造された多機能クロノグラフ、ワックマン レガッタ Ref.9804だ。
存在感溢れるクッションケースに、マルチカラーの万年カレンダーが刻まれたインナーベゼル、そしてオレンジのアクセントが映える多層構造のダイアル。一見して70年代らしいレーシーかつスポーティなオーラを放っている。時分針と同軸に備えられた矢印形の60分積算計が特徴的なレイアウトだ。
曜日の印刷された5色のカラフルなインナーベゼルは、10時のリューズを操作することで回転させることが可能で、曜日リングを内側の日付リングの日付とリンクさせることで、その月の曜日が素早く確認出来る仕組みとなっている。
クロノグラフ機構に万年カレンダーまで搭載した、70年代らしさにあふれた多機能時計だ。
同ブランドは1943年にポルトガルのブライトリング正規販売代理店として事業を開始した“ワックマン・ウォッチ・カンパニー”を前身として、47年にニューヨークにブライトリング社との合弁事業により設立されたアメリカン・ブライトリング・ウォッチ・カンパニー(通称:ブライトリングUSA)から誕生したブランドだ。現在でも一部のヴィンテージクロノグラフのコレクターから注目を集めている。

【写真の時計】ワックマン レガッタ。Ref.9804。SS(42mm径)。自動巻き(Cal.レマニア1341)。1970年代頃製。49万5000円。取り扱い店/BEST VINTAGE
【画像:5色で色分けされた万年カレンダーや、同軸クロノグラフの文字盤を詳しく見る(全6枚)】
加えて、今回取り上げたRef.9804は、95年の映画『マディソン郡の橋』でロバート・キンケイド役を演じるクリント・イーストウッド氏が劇中で着用していたという逸話も残されているタイムピースなのだ。
本モデルのムーヴメントには、時計史に名を残す名門ムーヴメントメーカー、レマニア社製の自動巻きクロノグラフ、Cal.1341を搭載。オメガのスピードマスター(Cal.1040)のベースとしても知られるこのキャリバーは、28,800振動/時のハイビートを誇る自動巻きムーヴメントだ。オメガのCal. 861(レマニアCal.1873)をベース設計としているため、一部パーツに互換性がある点も興味深い。
もっとも、繊細なムーヴメントであるため、メンテナンスを怠ると動作不良に陥る場合がある。良好なコンディションで維持するためには、構造を熟知した専門の技術者による適切なオーバーホールを推奨したい。
また、レガッタという名前ではあるが、スナップバック式の裏ブタやリューズやプッシャーの多いケース構造上、防水性に劣る点に注意したい。特に、本個体は風防にクラックが見られるため、メンテナンス時に風防を交換することをおすすめする。
1970年代の技術的模索を示す多機能機構、ブライトリングやレマニアとの史実的なつながり、そして映画『マディソン郡の橋』における劇中着用というエピソードを備えたワックマン Ref.9804。70年代のクロノグラフ史を体現するモデルとして、ヴィンテージ市場において独特なオーラを放つ1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎BEST VINTAGE

