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そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
セイコー
クォーツ QR
今回紹介するのは、1973年に登場したセイコー クォーツQRだ。
厚みのある重厚なケースに、ブルーグラデーションの文字盤を組み合わせた70年代らしいデザインが特徴的。フーデッドラグや立体的なバーインデックス、インデックス内周に設けられたミニッツサークルなど、どことなくV.F.A.を思わせる意匠が採用されている。
加えて、電池交換を容易にするために、裏ブタに小さな開口部が設けられている点も本モデルの特徴だ。
セイコーが1969年12月25日に世界で初めて市販したクォーツ式腕時計“アストロン”が登場して以来、同社はその技術を安定して量産する体制を整えるべく、驚異的なスピードで技術革新とコストダウンを押し進めていった。その過程で誕生したのが、今回紹介する“クォーツQR”だ。
1973年当時のセイコークォーツは、上からクォーツV.F.A.、クォーツQT、クォーツQR、クォーツQZというグレード構成となっており、本モデルは中級グレードに位置していたとされる。

【写真の時計】セイコー クォーツQR。Ref.3863-7010。SS(36mm径)。クォーツ(Cal.3863)。1973年製。3万4800円。取り扱い店/WTIMES
【画像:文字盤の仕上げや裏ブタの状態をさまざまなアングルから見る(全5枚)】
初代アストロン(35SQ)が当時の価格で45万円、現在の貨幣価値に換算すると300万円以上であったのに対し、クォーツQRは5万1000円、現在の貨幣価値でおよそ14万〜20万円程度であった。アストロンは電子回路やICチップ、水晶振動子など主要部品の量産体制が整っていなかったことに加え、ケース素材に金を使用していたため、ここまで高価であった。しかし、わずか4年でここまでの低コスト化に成功していたという点は驚きだ。
ただ、中級機とはいえ、当時の大卒初任給に相当する価格であったため、当時のクォーツ式腕時計がいかに高価であったかがお分かりいただけるだろう。
搭載するムーヴメントは、セイコークォーツの中でも比較的初期に登場したCal.3863。愛好家の間では“サンパチクォーツ”の通称でも親しまれ、セイコーのクォーツを普及させた名機とも呼べる存在だ。デイデイト表示機能を備え、月差±20秒以内という当時としては圧倒的な高精度を実現していた。
また、クォーツ式自体がまだ発展途上であったため、振動数が現在の標準的なクォーツ(32,768Hz)の半分である16,384Hzであった点も本ムーヴメントの特徴である。
加えて、秒針が1秒ごとにインデックス上で正確に停止するよう、秒針を取り付ける歯車にルビー製のツメ付きバネを当ててバックラッシュを抑制する“秒躍制レバー”が採用されている点も、初期クォーツならではの工夫と言えるだろう。
コストダウンを図りつつも抜かりのない作り込みが魅力の、国産オールドクォーツに注目だ。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎WTIMES
