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通称“ウィームスベゼル”を再現。誤作動防止機構は40年代にイギリス空軍に納入された当時のロンジン仕様|OUTLINEニュース no.35

 今回、現物が無かったため確認できなかったが、資料によるとおそらく初期のものなのだろう、板状の金属パーツの両サイドを曲げた爪をネジでベゼルのギザギザ型の溝部分に押し当てて止めるようなものもあったようだが、今回現物を見ることができた上の写真のオメガやモバードのように溝部分に止め金具の爪が噛み合うしっかりとした構造に時代とともに改良されていったと思われる。

1940年代後半に製造されイギリス軍に納入されたと言われるロンジン製のセコンドセッティングウオッチと同型の個体。アウトラインの新作ではこのロンジンが採用したロック機構を再現している

 今回アウトラインでこのウィームスベゼルを再現するにあたっては、イギリス空軍に納入されたと言われるロンジンの当時のセコンドセッティングウオッチ(上の写真参照)が装備していた止め金具の仕様に倣って再現した。

 先のオメガとモバードとの違いは二つ。ひとつはベゼル側面に設けられたギザギザ型の溝に一カ所ではなく二つの爪が2カ所で噛み合う構造だという点。もうひとつはその止め金具の両サイドには、ベゼル操作のために金具を緩めたときにそれ自体がくるりと回転してしまわないように、両側にはそれを防止するための突起が設けられている点である。結果これによってネジを締めて固定したときには、さらに堅牢性が増すよう工夫されている。

アウトライン・セコンドセッティングで再現したベゼルの回転を止めるためのロック機構

 さて、航空兵のナビゲーションウオッチとしてアメリカ陸軍航空隊に調達された当時のタイプA-11といえば、どちらかというとウォルサムやエルジン製の秒針停止機構(通称ハック)が付いたものが主流だったが、このウィームス・セコンドセッティングウオッチは、計測を始める際に秒針を止める必要がないため実際の時刻に影響しないというメリットがあったようだ。

【アウトライン・セコンドセッティング】
Ref.20222-1BK(ブラック)。SS(38mm径)。10気圧防水。自動巻き(日本製Cal.MIYOTA9039)。双方向回転ベゼル、ベゼルロック機構(4時位置)、シースルーバック。5万5000円

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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