先日5月16日(土)に発売がスタートしたスウォッチ×オーデマ ピゲの話題のコラボ作“Royal Pop(ロイヤル ポップ)”。その名のとおりポップなデザインや販売手法、新開発された“手巻き仕様のSISTEM51”ムーヴメントなど、実に語りどころが多い。
100%機械による自動組み立て機械式ムーヴメントとして時計史を塗り替えたSISTEM51は、本来自動巻きであることがアイデンティティーだったはず。それをなぜ流用せず、わざわざコストをかけてまで手巻きへとカスタムしたのか?そして衝撃コラボの真の狙いとは一体なんなのか?今回はその2点に着目し、このトピックを考察する。
【画像】人気カラー、自動巻き&手巻きの“SISTEM51”比較ほか
●腕時計ではなく“ポケットウオッチ”という販売方法
まずは本作Royal Popがポケットウオッチ、いわゆる懐中時計であるという点。
自動巻きムーヴメントは、日常の手首の動きによってローターが回転し、ゼンマイを巻き上げる。しかし、Royal Popはポケットに入れたり首から下げたり、あるいは専用スタンドでデスククロックとして使うことが想定されており、手首ほど激しい動きが加わらない。
もし自動巻きが搭載されていても、デスクに置いたままではすぐに止まってしまうし、実用性という意味で大きな差はないだろう。持ち歩く日の朝にリューズを手で巻くことで愛着が強くなるし、手巻きへの変更はポケットウオッチとして妥当な選択だと言える。
●裏ブタデザインへのこだわり
SISTEM51を手巻き仕様にしたもうひとつの狙いは、ポップなデザインを裏ブタ側からも楽しめるようにしたこと。もし自動巻きならローターがあるため、どうしても視覚的な楽しみは削がれてしまいがちだ(ブランパン×スウォッチに搭載されている自動巻きのSISTEM51は外周型の透明ローターを採用しているため、ある程度デザイン性も楽しめるのだが)。
さらに本作には、時計好きを唸らせるギミックが追加されている。香箱内部がグレー色だとゼンマイのコイルが見えて巻き上げが必要な状態、完全に巻き上げるとゼンマイが見えないゴールド色に変化するという、実質的なパワーリザーブインジケーター機能が付いているという点だ。

赤丸を付けた香箱内部の色から、巻き上げ状態を判別することができる
ローターを排除したことで、この視覚的ギミックがケースバックからダイレクトに愉しめるようになった。90時間というロングパワーリザーブを視覚化して楽しむためにも、手巻き化は実に理にかなっているのである。