アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ゼニス
ラウンド手巻き(カラトラバ形ケース)
今回取り上げるのは、1930年代に製造されたゼニスの手巻き3針の時計だ。
上面がフラットな形状のベゼルやシリンダー形のケース、砲弾形のインデックス、を採用した文字盤など、パテック・フィリップのカラトラバ(Ref.96)を思わせる造形のケースが魅力的な1本だ。スモールセコンドの一部のマーカーも、砲弾形に印刷されている点から、同時の設計者の遊び心とこだわりを感じさせる
ケース径は32mmと非常に小振りで、現代的な感覚からすれば非常に小さく思えるものの、当時としては一般的なケースサイズであったようだ。小振りなケースではあるが丁寧に仕立て上げられており、文字盤のスモールセコンドや針、インデックスとのバランスも良いため腕元で確かな存在感を発揮してくれるはずだ。
パールドットのミニッツマーカーや立体的な造形のソード形の時分針などの繊細なディテールが、本個体の格式の高さを演出している。

【写真の時計】ゼニス ラウンド手巻き(カラトラバ形ケース)。SS(32mm径)。手巻き(Cal.12-4)。1930年代製。44万円。取り扱い店/プライベートアイズ
【画像:カラトラバ風のフラットベゼルや粒金仕上げの手巻きムーヴメントの状態を見る(全6枚)】
ムーヴメントにはゼニスの手巻きキャリバーであるCal.12-4を搭載。スモールセコンドかつ手巻き式の、当時の手巻き時計に多く見られたベーシックな設計のムーヴメントだ。耐久性を重視した厚みのある受け板。精度を求めて採用したと思われる、切り欠きの入った温度補正テンプや巻き上げヒゲのヒゲゼンマイなど、当時のゼニスの実力を感じさせる作りのムーヴメントだ。地板や受け板に施された、マットな質感の繊細な粒金仕上げも見逃せないポイントだ。
ただし、本ムーヴメントはテンプの軸に耐震装置を備えていないため、落下などの強い衝撃を避ける必要がある。とは言え、日常生活で丁寧に使用する場合には問題にはならないだろう。また、非防水性構造のケースであるため、高温多湿で汗をかきやすい夏場や、雨天時の着用を避けることを推奨する。
ケースや文字盤を始めとした外装部品のみならず、ムーヴメントの細部まで丁寧に作りこまれた30年代のゼニス。小振りで控えめなデザインでありながらも、確かな存在感を発揮する玄人好みの逸品にぜひ注目してみてほしい。
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文◎LowBEAT編集部/画像◎プライベートアイズ

