桂 歌丸 -男の肖像時計の選択(パワーウオッチVol.48-2)

20年ほど前に買ったダンヒルのクォーツウオッチ。「今じゃたいした値打ちもないだろうけど、ダンヒルならどこの百貨店でも修理できますから安心なんです」

 

歌丸師匠の思い出の逸品は、20年ほど前に手に入れたダンヒルだ。

「仲間と一緒にラスベガスに遊びに行って、カジノのブラックジャックで遊んでいたんですが、なぜかディーラーに気に入られたのか、つきまくったんですよ。負けるときは小さく張っていたときだけ、あとはのべつ勝ちまくって相当儲かったんですよね。そのお金をただ使っちゃったんじゃバカバカしいってことで、何か記念になるものを買おうと思ったんです。そんなわけで帰りの免税店で、これを買ったんです」

高価な時計を持つことは、落語家という仕事柄においても意味があった---

趣味人として知られる歌丸師匠だが、腕時計も実は相当な数を所有している。「そんなに高いものは持ってないですけどね」と謙遜するが、机の引き出し2つ分は優にあるというから、数は相当なものだ。旅先でも古物店を回るのが大好きで、手頃な価格のものを見つけるとつい買ってしまうのだという。同様に愛煙家だった頃に集めたジッポーのコレクションもよく知られている。
そんなコレクターでもある歌丸師匠だが、高価な時計を持つことは、落語家という仕事柄においても意味があったという。

「今じゃまずありませんけど、私が若い頃は地方の仕事に行ったりすると、興行主がギャラを払ってくれなかったりすることが稀にあったんです。そういうときにちょっとした時計なんか持っていれば、帰りの旅費くらいにはなるでしょ。だからいい物のひとつくらいは身に着けておけって、昔はよく言われましたね」

『今日はいい高座だった』って誉められてるんだろうって思ってよく聞いたら、『あんた腕時計着けたまんまだったよ』って説教されてた(笑)

ただしTPOをわきまえることは肝心で、高座に腕時計は御法度なのだ。

「先代の可楽師匠が、高座が終わった後お客さんと話していたんですよ。『今日はいい高座だった』って誉められてるんだろうって思ってよく聞いていたら、『あんた腕時計着けたまんまだったよ』って説教されてた(笑)。われわれも高座に上がるときは必ず指輪や時計ははずすようにしているんですが、たまに忘れちゃうこともあるんですね。そういうときは着物の袖の陰でうまくはずしたりしますよ。長屋の八っつあん熊さんは絶対に腕時計などしてませんから、噺の世界に入り込むためにはやっぱり御法度なんですね。でもふだんは洋服を着て生活していますし、時計を着けずに出掛けることはまずありません」

 

桂 歌丸落語家
UTAMARU KATURA 1936年8月14日、神奈川県生まれ。1951年に5代目古今亭今輔に入門し、1968年に真打昇進。現在は落語芸術協会々長の要職にあり、三遊亭圓朝作「真景累ヶ淵」など古典落語の大作にも積極的に取り組んでいる。また人気番組「笑点」には番組開始当時から出演しており、2006年からは司会者を務めていることでもおなじみ。洒脱な語り口と圧倒的な知名度で、現在の落語界を牽引する存在となっている。

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