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【おっ、これはいい!】97年製のIWC通称“スモールキーゼ”|菊地吉正の時計考_045

先日、筆者が刊行する高級腕時計の専門誌「POWER Watch」のバックナンバーを見ていたときに気になったIWCの90年代のポルトギーゼを紹介したい。

ポルトギーゼが初めて登場したのは1939年。ふたりのポルトガル人商人の依頼から「航海用時計」として誕生したRef.325だ。懐中時計用ムーヴメントのCal.98が使われたため、42mm径と当時の腕時計としてはかなり大ぶりなものだった。

そのためポルトギーゼと聞くと40mm以上の大型ケースのイメージが強いが、ここに取り上げた1997年リリースのポルトギーゼ・オートマティックは、ボルトギーゼでも35mm径の小ぶりなケースが与えられた珍しいモデルなのである。そのため時計好きの間では“スモールギーゼ”の愛称で呼ばれる。

評価は分かれるかもしれないが、筆者的には通常のケースサイズだと、文字盤の要素がとてもシンプルなだけにデザインが若干間延びした感じがする。そのためこのぐらいのサイズだとスペースも程よくてとてもデザインバランスがいい。加えて本来のバータイプではなくパールドロップのミニッツインデックスを採用。これがちょっとしたアクセントになってけっこう魅力的に感じる。

ムーヴメントはジャガー・ルクルト製の自動巻きCal.891/2を搭載。同時代のマークXIIなどと同様のムーヴメントだがトップの写真を見てもわかるようにシースルーバックからのぞくそれは、地板やブリッジ、ローターが丁寧に磨かれて極めて美しい。

今回取り上げたピンクゴールのほかにステンレススチールモデルもラインナップ。本誌に掲載された当時ピンクゴールドの中古価格が78万円台。現在は150〜180万円前後でステンレスは100〜130万円といったところだろうか。

さて、IWCの代表的コレクションのひとつであるポルトギーゼだが、量産型が登場したのはスモールキーゼ登場の1年前(1996年)のこと。ただ、3針モデルではなくETAの自動巻きクロノグラフムーヴメントとして知られるCal.7750から自動巻き機構を外して手巻きに改良。それにスプリットセコンドクロノグラフモジュールを加えた「ポルトギーゼ・クロノグラフ・ラトラパンテ(Ref.3712)」だった。

そして97年にはこれをシースルーバック仕様にした日本限定が100本限定でリリースされている。冒頭のリンク先に写真を掲載したので、気になる人はチェックを。ちなみに、いまや同コレクションの顔とも言える自動巻きの「ポルトギーゼ・クロノグラフ」(Ref.3714)が発表されたのは98年だった。

【画像】日本限定のポルトギーゼ・クロノグラフ・ラトラパンテとは?

■ポルトギーゼ・オートマティック。Ref.3531-001。K18PG(35mm径)。自動巻き(Cal.891/2)。 USED参考価格78万8000円(2020年5月掲載)

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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