アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
シチズン
チャレンジダイバー
今回取り上げるのは、1975年頃に製造されたシチズンのチャレンジダイバー、Ref.4-600851Yだ。
1970年代のシチズンは、若者やアクティブな層に向けて“チャレンジ”と名付けたスポーツモデルのシリーズを展開していた。ツノクロノの愛称で親しまれる自動巻きクロノグラフの“チャレンジタイマー”などが有名であるが、そのなかで150m防水の本格的なダイバーズとして誕生したのが本作だ。
40mm径のやや大振りなステンレススチール製のケースや赤いデイト表示、うっすらとグリーン色がかった夜光や、それを盛る立体的なインデックスなど、武骨でスポーティな意匠が魅力的な1本だ。
リューズガードのない武骨でソリッドなケース形状はクラシカルな印象を与えるが、ねじ込み式のリューズを採用することで確実な機密性を確保していた。また、クリック感のない両方向回転ベゼルを採用していたという点は、ISOなどでダイバーズウオッチに関する厳格な規定がなされていなかった時代ならではの特徴と言える。
ケース全体やアルマイト処理の施されたアルミニウム製のベゼルインサートなど、キズやスレ、打痕などが多く見られる状態だ。コンディションが良いとは言い難いが、ボロボロでありなりながらもどこか威厳のある佇まいは、過酷な使用環境で生き残ったツールウオッチならではの貫禄を感じさせる。
とは言え、視認性に関わる風防ガラスがキズの少ないものに交換、もしくは研磨仕上げされており、クリアな視認性を確保している点は見逃せないポイントだ。

【写真の時計】シチズン チャレンジダイバー。Ref.4-600851Y。SS(40mm径)。自動巻き(Cal.6001)。1975年製。9万8000円。取り扱い店/WTIMES
【画像:立体的な仕上げのアワーマーカーや、ケース・ベゼルのキズの状態を確認する(全5枚)】
ダイバーズウオッチとしての基本性能を高めた本作は、83年にオーストラリアの海岸で、フジツボに覆われながらも動き続けているのが発見されたエピソードも残される、通称“フジツボダイバー”へと繋がる重要なモデルとも呼べるだろう。
ただし、2008年にワールドフォトプレスから発行された『【防水の力】ダイバーズウオッチ』に掲載されているフジツボダイバーの資料写真を確認する限りでは、管理用と思われるタグに“Cal.8210”と表記されている。この点から、フジツボダイバーとして知られる個体は、恐らく後に製造されたCal.8210ムーヴメント搭載の”Ref.4-820789Y”である可能性が高い。そのため、今回取り上げるモデルに関してはフジツボダイバーと同一のモデルではなく、あくまでチャレンジダイバーであるという点は留意しておきたい。
ムーヴメントには自動巻きのCal.6001を搭載。70年代頃の中級機らしく、安定性の高い毎時2万1600振動のロービートを採用しており、国産ヴィンテージらしい質実剛健な作りが特徴である。当時としては非常に利便性の高い日付のクイックセット機能や、ローターによる自動巻きだけでなく手巻きも可能であるため、日常使いにおける実用面への配慮がうかがえる。
最大のライバルであったセイコーのダイバーズウオッチと比較して、市場における現存数が少なく、ヴィンテージ市場でも希少性が高まりつつあるシチズンのダイバーズウオッチ。後の伝説へと繋がるシチズン・ダイバーズの進化の系譜を肌で感じられる、極めて硬派な1本だ。
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文◎LowBEAT編集部/WTIMES

