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【軍用クロノはドイツが原点!?】男心と物欲を刺激する“ミリタリーウオッチ”の魅力-ドイツ軍編

 アメリカ、イギリス、フランス、ドイツと四つの国を中心に、独特の機能美を備えたミリタリーウオッチを再考。第2回はドイツ軍が採用したミリタリーウオッチを紹介。

パイロットウオッチの分野で多数の傑作を輩出

 兵器や軍装に関して世界最高レベルの技術を誇っていたドイツ軍。計時機器に関しても第1次世界大戦までは自国の時計メーカーによる高精度なマリン・クロノメーター、デッキ・クロノメーターを使用していたが、第1次世界大戦以降、ドイツ国内の時計産業が爆弾の信管など、軍需物資の生産を強いられるようになり、海軍、空軍で使用する一部の軍用時計を除き、そのほとんどをスイスメーカーから調達した歴史をもつ。第1次世界大戦時に仕様も様々だったが、第2次世界大戦以降は60刻みのミニッツ、セコンドインデックス、アラビア数字インデックスを黒文字盤に配したスモールセコンドで、スクリューバックを採用した防水仕様という統一規格が採用されている。

 上の時計は陸軍服務時計を意味する“Dien stuhr Heer”の頭文字から、“DHウオッチ”の通称でも知られる第2次世界大戦時の陸軍用時計。ゼニス、グリシンなどのスイスブランドが製造を担った。

 独自性という点では特筆すべき点が少ない陸軍の軍用時計に対して、ドイツ軍ならではの特徴を備えていたのが、空軍、海軍で使用されたパイロット用ナビゲーションウオッチだ。ケースバックにある“B―UHR”の刻印から“Bウオッチの通称で知られており、ドット付きの三角マークを頂点に1~11までのアラビア数字を配置したAタイプ、文字盤外側に60刻みの分・秒スケールと内側に12までのアラビア数字インデックスを配置したBタイプの2種類が製造された。精度別にクラス1と2の2種類にランク分けされており、日差1秒という高精度が求められたクラスAにはA・ランゲ&ゾーネのムーヴメントを搭載。クラス2でも日差3秒の精度を備えており、ラコを中心にストーヴァ、ヴェンペ、IWCが製造を担った。

 Bウオッチと並び、ドイツ軍用時計を語るうえで外せないのがクロノグラフだ。第2二次世界大戦時にドイツ軍で使用されたクロノグラフは主に2種類。ひとつはハンハルトのクロノグラフで、こちらは主に海軍所属のパイロットが使用した。もうひとつはチュチマが製造したフライバッククロノグラフ、フリーガー クロノグラフだ。マイナス10℃~プラス40℃の環境下で、日差はマイナス3~プラス12秒という当時の軍用時計としては驚異的な精度と機能性を誇り、終戦後、各国の軍用クロノグラフにベースとして採用されたと言われている。

 チュチマのフリーガークロノグラフ。1940年に空軍からの依頼で開発されたもので基本的には空軍所属のパイロットが使用した。41~45年までの間に約3万個が製造されたとされる。多くは戦中に失われ、現存したものの多くは戦後、旧ソ連に持ち去られたとも言われる。参考商品(協力:キュリオスキュリオ)

 

》編集部のおすすめモデル-其の1
Laco(ラコ)
ミュンスター エアブシュトゥック

 1940年にドイツ軍の空軍服務規程で制定されたタイプAと呼ばれるナビゲーションウオッチを忠実に復刻。ドット付きの△マーク、目盛りの内側の12時間表示など意匠を踏襲したのはもちろん、ケース、文字盤に経年変化を思わせる加工を施しているのが特徴。アンティークウオッチと見間違う味わいを実現している。

■Ref.861931。SS(ダメージ加工、42mm径)。自動巻き(Cal.Laco24、ETA2824.2ベース)。31万3500円

【問い合わせ先】
リンクアップ(TEL.075-693-1236)
公式販売サイト:http://www.laco1925.jp/index.html

 

》編集部のおすすめモデル-其の2
HANHART(ハンハルト)
パイオニア マークワン

 第2次世界大戦時、主に海軍所属のパイロットが使用したとされるハンハルト初のクロノグラフをモチーフにした復刻モデル。後年は2プッシュ式に改良されているが、このモデルでは初期仕様をベースにワンプッシュのクロノグラフ機構に加え、コインエッジベゼル、コブラ針など特徴的な意匠を忠実に再現している。

■Ref.714.200-0110。SS(40㎜径)。10気圧防水。自動巻き(Cal.HAN3601)。42万9000円

【問い合わせ先】
リンクアップ(TEL.075-693-1236)
公式販売サイト:https://hanhart.jp

 

》編集部のおすすめモデル-其の3
SINN(ジン)
158

 1967年から供給された“Heuer 1550 SG”と呼ばれる西ドイツ空軍用のクロノグラフをベースした復刻モデル。サンドマット仕上げの43mmケース、ドーム形の強化アクリルガラス製風防、アルマイト加工を施したアルミニウム製のブラックベゼル、大振りなリューズと、オリジナルモデルの特徴的な意匠が再現されている。

■SS(43mm径)。自動巻き(Cal.SW510)。10気圧防水。世界限定500本。47万3000円

【問い合わせ先】
ホッタ(TEL.03-6226-4715)
公式サイト:https://sinn-japan.jp/product/158/

 

》編集部のおすすめモデル-其の4
JUNGHANS(ユンハンス)
158

 1959年に西ドイツ軍に制式採用された軍用クロノグラフの復刻版。レッドマーキングを施したタイプ88/0110、波形シェイプを備えた12角ベゼルが特徴のタイプ88/0111が納品されているが、マイスターパイロットではタイプ88/ 0111をベースに独特のデザインが再現されている。

■Ref.027/3593.00。SS(43.3mm径)。100m防水。自動巻き(Cal.J880.4)。31万9200円

【問い合わせ先】
ユーロパッション(TEL.03-5295-0411)
公式サイト:http://www.europassion.co.jp/junghans/collection/027_3593_00.html

 

文◎船平卓馬(編集部)

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